続きは甘く優しいキスで
さっきの違和感はなんだったのか――。

ほんの少しの引っ掛かりを覚えながら、私は店へと通じる階段に足をかけた。ドアを開けて入って行くと、梨都子だけではなく、清水の姿もあった。

「碧ちゃん、久しぶり」

清水は私を見るなりぱっとした笑顔を見せて、おいでおいでと手招きした。

「梨都子さん、清水さんに連絡したんですか?」

私は二人の間に座りながら、梨都子に訊ねた。

「まさか。わざわざ連絡なんかしないわよ。でも、二人そろってちょうどよかったわ。少し時間がたっちゃったけど、この前のお礼させてよ。今日は全部私のおごりね」

梨都子はそう言って綺麗なウインクを投げてよこした。

「でもさ、碧ちゃんの顔見るの、ほんとに久しぶりよね。最後に会ってから三か月くらいになるのかしら。私が二人に送ってもらった日以来だよね。この前もらったメールによると、彼氏ができたってことだけど、今はちょうどラブラブ期間って感じなのかしらね?」

清水が大きく目を見開いた。

「えっ。碧ちゃんにとうとう彼氏ができたの?」

清水までもが梨都子の言葉に喰いついて、前のめり気味に訊いてきた。

「もしかして、あの名刺の人?」

両側から挟まれて、私は小さな声で答える。

「えぇ、まぁ、はい」

梨都子がにこにこしながら私を見た。

「よかったよ。なんか安心したわ。それで?連絡もらった時に書いてあった話って、何かしら?聞いてほしいことがあるとかなんとか」
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