続きは甘く優しいキスで
「あ、いや、まぁ……。そんなにたいした話でもないんですけど……」

私は言葉を途中で切り、隣の清水をちらりと見た。まさか彼も来ているとは思っていなかったから、今話すのは恥ずかしい。

私の様子を訝しみ、梨都子が首を傾げた。

「もしかして、史也君がいると話しにくいことなの?」

「まぁ、そうですね」

「えっ、俺、邪魔だった?」

「いえ、邪魔って言うか……」

「ふぅん……」

梨都子は私の顔をしげしげと見ていたが、思い当たることがあったのか、納得したような顔でにやりと笑った。私の耳元に口を寄せて囁く。

「もしかしてセックスの話?」

私の頬が一気に赤くなった。

「当たりだった?」

梨都子はふふっと笑った。そのまま私に体をピタリと寄せて小声で続ける。

「相性が悪いって話?」

「じゃなくて……」

私もまた梨都子の耳に顔を寄せて囁いた。

「恥ずかしいんだけど、この歳まで最後までの経験がなくて、怖いっていうか……。付き合ってそろそろ二か月くらいになるんだけど、実はいつもはぐらかしてるの。それでね、どういうタイミングで、その、許したらいいのかな、って……」

「やだっ。もう、碧ちゃんたら可愛すぎ!」

そう言って梨都子は私にがばっと抱きついた。

「ちょっと、梨都子さん、声が大きい。おまけに苦しいっ」

「ごめん、ごめん」

梨都子は謝りながら離れると、満面の笑みを私に向ける。

「だって、碧ちゃんがあまりにも初々しく見えちゃって。まるで高校生とか学生と話してるみたいなんだもの」
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