続きは甘く優しいキスで
「彼とはお店で偶然会っただけです。女友達と一緒だったのは嘘じゃありませんよ」
「プライベートで、俺以外の男と一緒にいたりしてほしくないんだけど」
私は眉根を寄せて、彼から視線を外した。
「そんなこと言われても……。だって男友達もいるわけだし……」
これまでの私だったら、困りつつも彼の言葉を嬉しく感じたと思う。けれど、タクシーを降りる前に見た、彼からの電話の着信とメッセージの履歴。その件数の多さに、どきりとしたことを思い出す。加えて、清水の「束縛気味に見えてしまって」という言葉が頭の中で回り出す。しかし、それらの違和感は気のせいだとすぐさま打ち消しにかかった。
私を心配しているからだ。私を愛しているからだ。予定を変更してまでわざわざ出張先から戻ってきたのだって、私の顔を見たくなったからだと、彼はそう言ったじゃないか――。
悶々としていると、太田の静かな声が降ってきた。
「今夜はこのまま泊まってもいい?」
「え……」
困惑しながら見上げた太田の目は、熱をはらんでいた。これが、梨都子が言う「流れ」というものなのだろうかとにわかに緊張し、胸がどきどきし始める。
太田の手が私の唇に触れた。
「だめ?」
つうと撫でられて、私は身動きが取れなくなった。
「いい?」
私の意思を確かめるような言い方だったが、見つめながら囁く太田の声には、どこか有無を言わせぬような強い響きがあった。その声音と熱っぽい瞳に飲み込まれてしまい、気づけば私は首を縦に振っていた。
部屋に着き、玄関に入ってドアのロックを下ろした途端に、私は太田に抱きすくめられ口づけられた。こんなにも性急な彼を見るのは初めてで戸惑った。
「プライベートで、俺以外の男と一緒にいたりしてほしくないんだけど」
私は眉根を寄せて、彼から視線を外した。
「そんなこと言われても……。だって男友達もいるわけだし……」
これまでの私だったら、困りつつも彼の言葉を嬉しく感じたと思う。けれど、タクシーを降りる前に見た、彼からの電話の着信とメッセージの履歴。その件数の多さに、どきりとしたことを思い出す。加えて、清水の「束縛気味に見えてしまって」という言葉が頭の中で回り出す。しかし、それらの違和感は気のせいだとすぐさま打ち消しにかかった。
私を心配しているからだ。私を愛しているからだ。予定を変更してまでわざわざ出張先から戻ってきたのだって、私の顔を見たくなったからだと、彼はそう言ったじゃないか――。
悶々としていると、太田の静かな声が降ってきた。
「今夜はこのまま泊まってもいい?」
「え……」
困惑しながら見上げた太田の目は、熱をはらんでいた。これが、梨都子が言う「流れ」というものなのだろうかとにわかに緊張し、胸がどきどきし始める。
太田の手が私の唇に触れた。
「だめ?」
つうと撫でられて、私は身動きが取れなくなった。
「いい?」
私の意思を確かめるような言い方だったが、見つめながら囁く太田の声には、どこか有無を言わせぬような強い響きがあった。その声音と熱っぽい瞳に飲み込まれてしまい、気づけば私は首を縦に振っていた。
部屋に着き、玄関に入ってドアのロックを下ろした途端に、私は太田に抱きすくめられ口づけられた。こんなにも性急な彼を見るのは初めてで戸惑った。