続きは甘く優しいキスで
飲み会はほぼ時間通りに終わった。誘われた二次会は断り、私は迎えに来ていた太田の車に乗る。車中はしんとしていて、空気が張り詰めていた。

太田の不機嫌の原因は木田だろうとすぐに察して、私はおずおずと口を開いた。

「今夜一緒に飲んだ中にいた男の人は、大学のゼミで一緒だった人たちで、何もないですから」

けれど太田はちらと私を横目で見たきり、何も言わない。そのまま無言で車を走らせて、誰もいない河川敷のひっそりとした広場に車を止めた。

「どうしてこんな場所に……」

怪訝に思ってつぶやく私に、太田はやはり何も答えない。黙ったまま自分と私のシートベルトを外し、車のライトを落とした。

「太田さん?」

おどおどと訊ねる私に太田は短く言った。

「お仕置きする」

「え?」

訊き返したと同時に太田の腕が私の体の上を越えたかと思ったら、助手席のシートがガタンと倒れた。

驚いている私の両手をつかんで上に持ち上げると、太田はひものような物で縛った。

「何するの、やめてっ」

「出張用のネクタイ、こないだクリーニングに出したやつ、車に置きっ放しにしてたんだ」

両手をはずそうとするが、ヘッドレストが邪魔になって動かせない。

「俺以外の男に色目を使ったバツだよ」

「色目って……。そんなことしてない」

しかし太田は私の言葉を無視する。

「だめ。俺だけ見てって言っただろ?もう忘れたのか?」

太田はそう言うと、私のブラウスの裾をまくり上げた。

「やめて……」

「やめないよ。これは笹本に分からせるために必要なことだから」

そう言って、太田は露わにした私の胸元に舌を這わせる。
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