続きは甘く優しいキスで
6.まさかの再会
年度半ばのこの日、私が所属する管理部は全体が朝からそわそわしていた。なぜなら、今日から新しい仲間が増えるからだ。それが男性だと言うこと以外、私はまだその人の詳しい情報を知らない。
パソコンを立ち上げて、今日の仕事の予定を確認していると、同僚の田苗が隣の席からワクワクした様子で話しかけてきた。
「ねぇ、笹本、今日だよね。いったいどんな人だろうね。イケメンだといいなぁ」
「既婚者のくせに、何言ってるのよ」
田苗はにやりと笑った。
「既婚だからよ。職場でくらいは目の保養をしたいわけよ」
「旦那さん、イケメンでしょ?それで十分目の保養になるじゃない」
「たまには違うタイプのイケメンを見たくなるのよ」
「何、それ。よく分からないんだけど……」
田苗にあきれ顔を向けた時、管理部長の大槻が姿を現した。その後ろに続いて入って来たのは、例の噂の人だろう。大槻の陰になっていて、私の場所からは顔が見えない。
「おはよう。みんな、ちょっといいでしょうか」
大槻は自分のデスクの前に立ち、フロア全体を見渡して声を張った。
その声を合図に、皆が椅子から立ち上がった。大槻の方、正確には彼の隣でかしこまっている男性に対して、控えめな、けれども興味津々の目を向ける。多くはない女性社員たちに至っては、既婚未婚に関わらず色めき立っているようだ。
「早速だけれど、こちらの方を紹介します。今日からここで一緒に働くことになる北川拓真さんです」
聞き覚えがある名前だと思った時、頭の中に突然浮かび上がったのは学生時代の元カレの顔だった。
うそでしょ――。
胸の奥がざわめいた。
パソコンを立ち上げて、今日の仕事の予定を確認していると、同僚の田苗が隣の席からワクワクした様子で話しかけてきた。
「ねぇ、笹本、今日だよね。いったいどんな人だろうね。イケメンだといいなぁ」
「既婚者のくせに、何言ってるのよ」
田苗はにやりと笑った。
「既婚だからよ。職場でくらいは目の保養をしたいわけよ」
「旦那さん、イケメンでしょ?それで十分目の保養になるじゃない」
「たまには違うタイプのイケメンを見たくなるのよ」
「何、それ。よく分からないんだけど……」
田苗にあきれ顔を向けた時、管理部長の大槻が姿を現した。その後ろに続いて入って来たのは、例の噂の人だろう。大槻の陰になっていて、私の場所からは顔が見えない。
「おはよう。みんな、ちょっといいでしょうか」
大槻は自分のデスクの前に立ち、フロア全体を見渡して声を張った。
その声を合図に、皆が椅子から立ち上がった。大槻の方、正確には彼の隣でかしこまっている男性に対して、控えめな、けれども興味津々の目を向ける。多くはない女性社員たちに至っては、既婚未婚に関わらず色めき立っているようだ。
「早速だけれど、こちらの方を紹介します。今日からここで一緒に働くことになる北川拓真さんです」
聞き覚えがある名前だと思った時、頭の中に突然浮かび上がったのは学生時代の元カレの顔だった。
うそでしょ――。
胸の奥がざわめいた。