続きは甘く優しいキスで
私だと知られたくなかったのは、会ったら絶対に責められると思っていたからだ。しかし今の話から、彼もまた私との別れを引きずっていたらしいことを知る。それがしこりとなって心に残っていたのは、北川も同じだったのだ。しかも、私が離れた原因が北川自身にあったと思っていたとは……。
あの時逃げたのは、そんなに深刻に捉えなくてもいいんじゃないかと、今だったら思える理由からだったが、当時の私は軽く流せなかった。だが、感じたこと、思ったことを、言葉にして伝えるべきだったと遅すぎる反省をする。あの時の私は自分のことしか考えておらず、彼の気持ちを想像できていなかったし、想像しようともしなかった。
北川から昔と変わらない優しい微笑みを向けられて、罪悪感と切なさに胸が苦しくなった。次の瞬間には、ポロリと言葉が口をついて出ていた。
「拓真君、ごめんなさい……。あの時の私は……」
昔そう呼んでいたように、私は自然に彼の名前を口にしていた。自分が彼の恋人だったことを認めた瞬間だった。
あれほど頑なに気づかれたくないと思っていたのに、なんとも呆気ない。時間の問題だったのは自分の方だった。
続ける言葉が見つからずうつむく私に、北川はしみじみとした口調で言う。
「会えて良かった……」
その言葉が本心かどうか確かめたくなって、私はそっと北川を見上げた。
そこにあった温かいまなざしを受けて胸が詰まる。嬉しい、と思った。
北川は私の顔を覗き込む。
「二人で会う時間を作ってもらえないか?あの時は作れなかった互いに向き合う時間がほしい。君と話をすることで、今まで引きずってきた気持ちに区切りをつけたい」
あの時逃げたのは、そんなに深刻に捉えなくてもいいんじゃないかと、今だったら思える理由からだったが、当時の私は軽く流せなかった。だが、感じたこと、思ったことを、言葉にして伝えるべきだったと遅すぎる反省をする。あの時の私は自分のことしか考えておらず、彼の気持ちを想像できていなかったし、想像しようともしなかった。
北川から昔と変わらない優しい微笑みを向けられて、罪悪感と切なさに胸が苦しくなった。次の瞬間には、ポロリと言葉が口をついて出ていた。
「拓真君、ごめんなさい……。あの時の私は……」
昔そう呼んでいたように、私は自然に彼の名前を口にしていた。自分が彼の恋人だったことを認めた瞬間だった。
あれほど頑なに気づかれたくないと思っていたのに、なんとも呆気ない。時間の問題だったのは自分の方だった。
続ける言葉が見つからずうつむく私に、北川はしみじみとした口調で言う。
「会えて良かった……」
その言葉が本心かどうか確かめたくなって、私はそっと北川を見上げた。
そこにあった温かいまなざしを受けて胸が詰まる。嬉しい、と思った。
北川は私の顔を覗き込む。
「二人で会う時間を作ってもらえないか?あの時は作れなかった互いに向き合う時間がほしい。君と話をすることで、今まで引きずってきた気持ちに区切りをつけたい」