続きは甘く優しいキスで
清水は財布を取り出し、池上にお金を渡した。
出遅れたと思いつつ、私は清水に本気ではない文句を言う。
「いつも自分で払うって言ってるのに。池上さんも、受け取らないでくれればいいのに……」
「碧ちゃんの飲み代なんて、俺と比べたら微々たるもんなんだからいいんだよ。それじゃあ、北川さん、俺たち先に失礼しますんで。どうぞごゆっくり」
清水は北川に笑いかけてからすっと席を立ち、私を促した。
「行こうか」
「は、はい」
私は慌てて立ち上がり、清水の後を追おうとして足を止めた。清水が私の彼氏だと、北川が変に誤解していないといいけれど、とつい気を回してしまう。北川がそんな誤解をするはずもないのにと内心で苦笑しながら、私は固い笑顔を彼に向けて会釈した。
「北川さん、すみません。お先に失礼します」
「えぇ。また明日会社で……」
顔を上げた瞬間、北川と目が合った。名残惜しいように見えたのは、私の願望?
彼は目元を優しく緩め柔らかい声で言った。
「気をつけて」
胸の奥がきゅっと疼いて切なくなった。その気持ちを気づかれないように、私は急いで彼に背を向けて、清水の後を追って店を出た。
清水は階段手前の手すりに寄りかかり、私を待っていた。
「本当は、もう少し北川さんといたかったんじゃないの?」
清水は私の顔を見るなりそんなことを口にする。
「何を言い出すのかと思えば……。だって毎日会社で会う人ですよ」
出遅れたと思いつつ、私は清水に本気ではない文句を言う。
「いつも自分で払うって言ってるのに。池上さんも、受け取らないでくれればいいのに……」
「碧ちゃんの飲み代なんて、俺と比べたら微々たるもんなんだからいいんだよ。それじゃあ、北川さん、俺たち先に失礼しますんで。どうぞごゆっくり」
清水は北川に笑いかけてからすっと席を立ち、私を促した。
「行こうか」
「は、はい」
私は慌てて立ち上がり、清水の後を追おうとして足を止めた。清水が私の彼氏だと、北川が変に誤解していないといいけれど、とつい気を回してしまう。北川がそんな誤解をするはずもないのにと内心で苦笑しながら、私は固い笑顔を彼に向けて会釈した。
「北川さん、すみません。お先に失礼します」
「えぇ。また明日会社で……」
顔を上げた瞬間、北川と目が合った。名残惜しいように見えたのは、私の願望?
彼は目元を優しく緩め柔らかい声で言った。
「気をつけて」
胸の奥がきゅっと疼いて切なくなった。その気持ちを気づかれないように、私は急いで彼に背を向けて、清水の後を追って店を出た。
清水は階段手前の手すりに寄りかかり、私を待っていた。
「本当は、もう少し北川さんといたかったんじゃないの?」
清水は私の顔を見るなりそんなことを口にする。
「何を言い出すのかと思えば……。だって毎日会社で会う人ですよ」