続きは甘く優しいキスで
「実はさっき、さおりさんから連絡があって。体調が悪くて動けなくて、今日の撮影は中止させてほしいってことなんです。なんだかすみません、わざわざ来てもらったのに……」
「別に笹本さんが謝ることじゃないでしょ?具合が悪いなら仕方ないよ。さおりさん、だいぶひどそうだった?」
「ん……。熱は少し下がったって言ってましたけど、咳がひどそうでした」
「夏風邪でも引いたのかな。旦那さんもいるから、大丈夫だろうけど。じゃあ、どうしようかな……」
北川はしばらく腕を組んで何かを考えていたが、私に視線を当てて微笑んだ。
「笹本さん、浴衣着てきたんだね。やっぱりさおりさんの指示?」
「え?はい。そういう写真を撮りたいから、って。そう言えば、北川さんもですね」
改めて彼を見たら、心臓がうるさく騒ぎ出した。アルバイト先で見ている姿とは違う新鮮さに、止めようとしてもときめいてしまう。
「俺も浴衣で来いって言われたからね。……あのさ、せっかく二人して浴衣で来てるんだし、笹本さんさえ良ければだけど、お祭り、見て行かない?」
「私とですか?でも、彼女さんに悪いですから……」
探りを入れたわけではない。気を遣ったつもりで言ったのだったが、彼は苦笑を浮かべた。
「彼女はいないよ。だから気にしなくていいよ」
私は目を瞬かせた。微かな希望が顔を覗かせたが、彼が私を見てくれるわけはないと即座に打ち消しにかかる。
「別に笹本さんが謝ることじゃないでしょ?具合が悪いなら仕方ないよ。さおりさん、だいぶひどそうだった?」
「ん……。熱は少し下がったって言ってましたけど、咳がひどそうでした」
「夏風邪でも引いたのかな。旦那さんもいるから、大丈夫だろうけど。じゃあ、どうしようかな……」
北川はしばらく腕を組んで何かを考えていたが、私に視線を当てて微笑んだ。
「笹本さん、浴衣着てきたんだね。やっぱりさおりさんの指示?」
「え?はい。そういう写真を撮りたいから、って。そう言えば、北川さんもですね」
改めて彼を見たら、心臓がうるさく騒ぎ出した。アルバイト先で見ている姿とは違う新鮮さに、止めようとしてもときめいてしまう。
「俺も浴衣で来いって言われたからね。……あのさ、せっかく二人して浴衣で来てるんだし、笹本さんさえ良ければだけど、お祭り、見て行かない?」
「私とですか?でも、彼女さんに悪いですから……」
探りを入れたわけではない。気を遣ったつもりで言ったのだったが、彼は苦笑を浮かべた。
「彼女はいないよ。だから気にしなくていいよ」
私は目を瞬かせた。微かな希望が顔を覗かせたが、彼が私を見てくれるわけはないと即座に打ち消しにかかる。