続きは甘く優しいキスで
北川が指さす方向に目を向けて、そこに星の帯を見つけた私は感嘆の声をもらす。

「うわぁ、ほんと、綺麗だね。天然のプラネタリウムだね。連れて来てくれてありがとう」

「喜んでもらえたみたいで良かった」

北川の嬉しそうな声がとても近い所で聞こえたと思った瞬間、柔らかな感触と熱を唇に感じた。

今のは、キス……?

そうと気づいて全身がカッと熱くなる。暗いからよく分からないだろうが、顔なんて絶対に真っ赤になっているはずだ。熱くなった頬をひんやりとした自分の両手で覆った。

「碧ちゃんがすぐそばにいるって思ったら、我慢できなかった。……ごめん。だけど、もう少しだけ触れさせて」

北川の腕が伸びて来て、私は彼の胸元に抱き寄せられた。これまで手を繋ぐことはあっても、こんな風に彼と密着したことは初めてだった。しかも初めてのキスをした余韻もあって、私の鼓動は苦しいくらいにどきどき鳴っている。耳元で北川が囁いた。

「好きだよ」

そのひと言を聞いたら、幸福感でいっぱいになった。北川への想いがこみあげてきて、私は彼の胸に顔を埋めるようにしながら言った。

「私も好き。大好き」

言い終えた途端、私を抱く彼の腕に力が入った。

「あぁ、もうっ!帰りたくないんだけど。でも明日は朝一でゼミが……」

葛藤するような彼の様子に、私は思わず笑い声をもらした。

「何笑ってるのさ。こんな風に悩むのは、碧ちゃんのせいなんだからね」

恨みがましく彼は言ったけれど、よく聞けば笑いをこらえている。

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