続きは甘く優しいキスで
拓真も私の行動に戸惑っていたのだろう。彼から電話がかかってきたのは、それからしばらくたってからだった。
逃げるように帰ってきたことを、後悔してはいた。しかし、彼のことは大好きだが、今はまだ会いたくないと思ってしまっていたせいで、その電話に出なかった。淫らな姿を好きな人に見せてしまったという羞恥心、それに加えて拓真の男の顔を初めて見たという衝撃が、思った以上に私の頭と心にこびりついていた。
本当は素直に話せば良かったのだ。それなのに、私は自分の中だけで解決しようとし、気持ちが落ち着くまではアルバイトも休もうと決めた。
電話に出ない上に、私がアルバイト先にも姿を見せなくなったことで、拓真が直接部屋まで来たこともあった。けれど私は居留守を使い、彼に会うのを避け続けた。拓真に会いたいという気持ちと、私を執拗に捉えている様々な感情とは、なかなか折り合いがつかなかった。
そうしているうちに、彼からの連絡はなくなってしまった。
それは当然の結果だ。自業自得だと自分を責めた。大切な存在を失ってしまったことに喪失感を覚えた。この時、自分から行動を起こしていればまだ間に合ったかもしれない。けれど勇気を出すのが遅かった。連絡しようと行動を起こした時には、彼の電話はつながらなかった。行ってみた彼の部屋は空き部屋だった。季節は春。彼は大学を卒業してどこか違う土地に行ってしまったのだと、やっと気がついた。
どうしてあれくらいのことで、彼から逃げてしまったのか――。
今さらだと分かっていても、悔やまずにはいられなかった。おかげでこの恋は、それからもずっと私の心の底でくすぶり続けることになったのだった。
逃げるように帰ってきたことを、後悔してはいた。しかし、彼のことは大好きだが、今はまだ会いたくないと思ってしまっていたせいで、その電話に出なかった。淫らな姿を好きな人に見せてしまったという羞恥心、それに加えて拓真の男の顔を初めて見たという衝撃が、思った以上に私の頭と心にこびりついていた。
本当は素直に話せば良かったのだ。それなのに、私は自分の中だけで解決しようとし、気持ちが落ち着くまではアルバイトも休もうと決めた。
電話に出ない上に、私がアルバイト先にも姿を見せなくなったことで、拓真が直接部屋まで来たこともあった。けれど私は居留守を使い、彼に会うのを避け続けた。拓真に会いたいという気持ちと、私を執拗に捉えている様々な感情とは、なかなか折り合いがつかなかった。
そうしているうちに、彼からの連絡はなくなってしまった。
それは当然の結果だ。自業自得だと自分を責めた。大切な存在を失ってしまったことに喪失感を覚えた。この時、自分から行動を起こしていればまだ間に合ったかもしれない。けれど勇気を出すのが遅かった。連絡しようと行動を起こした時には、彼の電話はつながらなかった。行ってみた彼の部屋は空き部屋だった。季節は春。彼は大学を卒業してどこか違う土地に行ってしまったのだと、やっと気がついた。
どうしてあれくらいのことで、彼から逃げてしまったのか――。
今さらだと分かっていても、悔やまずにはいられなかった。おかげでこの恋は、それからもずっと私の心の底でくすぶり続けることになったのだった。