続きは甘く優しいキスで
そして今日太田は予定通り、経理課長と一緒に他県にある支社に出張している。
戻るのは遅い時間になるだろうからやっぱり今夜は会えないと、昨夜遅くメッセージが入った。それに対して、私は彼を気遣う彼女として返信した。
―― 大変ですね。頑張ってくださいね。早く仕事が落ち着けばいいですね。
太田からの返信はいつものように早かった。
―― ありがとう。明後日の夜にでもどこかで晩飯を食べよう。
私は太田の「明後日」という言葉に緊張した。彼がそう言うからには、きっと会うことになるはずだった。その時が別れを告げる一つのタイミングになるかもしれないと思いながら、私は短く返した。
―― はい。おやすみなさい。
もう一度くらい返信があるかもしれないと思っていたが、その時点ですでに真夜中過ぎ。その後携帯から通知音が聞こえることはなかった。
私の気持ちはすでに太田から離れている。しかし別れ話を切り出した時、きっと彼は簡単には頷かないだろうと思っている。だからと言って、今の状況に囚われ続けていたくはない。北川が前に進もうとしているように、私も早く太田に別れを告げて前進したい。北川への想いは想いとして、太田に対峙するための勇気を今夜、北川からもらえたらと思う。
北川への想いを消せることを期待して、太田と付き合い出したはずだった。それなのに、再び北川を想うことになり、今は太田の束縛から逃げたいと思っている。まさかこんなことになるとは思ってもいなかった、と自嘲しながらも、私は一つの決心を固めるような思いで、ロッカーの中の鏡の中の自分を見つめた。
戻るのは遅い時間になるだろうからやっぱり今夜は会えないと、昨夜遅くメッセージが入った。それに対して、私は彼を気遣う彼女として返信した。
―― 大変ですね。頑張ってくださいね。早く仕事が落ち着けばいいですね。
太田からの返信はいつものように早かった。
―― ありがとう。明後日の夜にでもどこかで晩飯を食べよう。
私は太田の「明後日」という言葉に緊張した。彼がそう言うからには、きっと会うことになるはずだった。その時が別れを告げる一つのタイミングになるかもしれないと思いながら、私は短く返した。
―― はい。おやすみなさい。
もう一度くらい返信があるかもしれないと思っていたが、その時点ですでに真夜中過ぎ。その後携帯から通知音が聞こえることはなかった。
私の気持ちはすでに太田から離れている。しかし別れ話を切り出した時、きっと彼は簡単には頷かないだろうと思っている。だからと言って、今の状況に囚われ続けていたくはない。北川が前に進もうとしているように、私も早く太田に別れを告げて前進したい。北川への想いは想いとして、太田に対峙するための勇気を今夜、北川からもらえたらと思う。
北川への想いを消せることを期待して、太田と付き合い出したはずだった。それなのに、再び北川を想うことになり、今は太田の束縛から逃げたいと思っている。まさかこんなことになるとは思ってもいなかった、と自嘲しながらも、私は一つの決心を固めるような思いで、ロッカーの中の鏡の中の自分を見つめた。