続きは甘く優しいキスで
12.それぞれの後悔
拓真の後に着いて行った先は、レストランと同じフロアにあるバーだった。カウンター席に座った時、目の前に夜景が見える造りになっている。
出迎えてくれた男性スタッフから好きな席へどうぞと促されて、拓真はカウンター席ではなくさらに奥の方にあるボックス席に足を向けた。
私たちは向かい合うようにして椅子に腰を下ろし、それぞれにドリンクを注文する。
少し待った後にグラスが運ばれてきた。それを私が手に取ったタイミングで、拓真は自分のグラスを目の高さに掲げて言った。
「乾杯」
「か、乾杯……」
冷たい一口で唇と喉を湿らせ、私はそっと拓真を見た。少し暗めの照明のおかげで、レストランで向き合っていた時に比べて緊張感はいくらか緩んでいる。
今のうちに話そう――。
私はごくりと生唾を飲み込み、意を決して声を絞り出した。
「レストランでの話の続きだけど……」
「うん」
拓真はテーブルの上に腕を置いて、軽く身を乗り出した。
少しだけ拓真の顔との距離が近くなって、鼓動がとくんと鳴る。張り付きそうになる声を励ましながら、私はグラスに浮かんだ氷に目を落としたまま口を開いた。
「恥ずかしくて、ショックだったの……」
「……恥ずかしくて、ショック?」
拓真はゆっくりと訊き返し、次の私の言葉を待つ。
話そうと思っていたことを、一応は整理してきていたはずだったけれど、改めて拓真を前にしたら頭の中がぐちゃぐちゃになった。改めて言葉を選ぶのは諦めて、私は頭に浮かぶがままぽつぽつと話し出す。拓真の反応が怖くて声が震える。
出迎えてくれた男性スタッフから好きな席へどうぞと促されて、拓真はカウンター席ではなくさらに奥の方にあるボックス席に足を向けた。
私たちは向かい合うようにして椅子に腰を下ろし、それぞれにドリンクを注文する。
少し待った後にグラスが運ばれてきた。それを私が手に取ったタイミングで、拓真は自分のグラスを目の高さに掲げて言った。
「乾杯」
「か、乾杯……」
冷たい一口で唇と喉を湿らせ、私はそっと拓真を見た。少し暗めの照明のおかげで、レストランで向き合っていた時に比べて緊張感はいくらか緩んでいる。
今のうちに話そう――。
私はごくりと生唾を飲み込み、意を決して声を絞り出した。
「レストランでの話の続きだけど……」
「うん」
拓真はテーブルの上に腕を置いて、軽く身を乗り出した。
少しだけ拓真の顔との距離が近くなって、鼓動がとくんと鳴る。張り付きそうになる声を励ましながら、私はグラスに浮かんだ氷に目を落としたまま口を開いた。
「恥ずかしくて、ショックだったの……」
「……恥ずかしくて、ショック?」
拓真はゆっくりと訊き返し、次の私の言葉を待つ。
話そうと思っていたことを、一応は整理してきていたはずだったけれど、改めて拓真を前にしたら頭の中がぐちゃぐちゃになった。改めて言葉を選ぶのは諦めて、私は頭に浮かぶがままぽつぽつと話し出す。拓真の反応が怖くて声が震える。