希望を見つけ出せたなら
第二章「光の行方はどこに」


「……てくだ…さい」うん?微かに声が聞こえた。「起きてください」「っはっ」誰かに呼び起こされた。目を擦って声のする方をみると、私の知らない人だった。「だ、誰?君は」「私は『ルナ』」「私は『葵』ってそんなことよりここってどこ?」「ここって言われても。なんて説明したらいいんだろう。うーんとここには、街があったり、広場があったり、ここみたいな草原があったり。色々なものがある場所…?説明って言われてもわかんないや」何それ、私たちが住んでる地球と同じじゃないか。でもなんだろう。地球と違った雰囲気を感じる。初めにここに来た時、地球のどこか。と言う感じではない異様な空間。空気。景色。「それで、葵ちゃんはどこに住んでるの?」「わ、私は」どうしよう。よくわからない光に連れ去られて、ここに来たから、家とかないよ。なんて答えようか…「わ、私、最近ここら辺に旅しに来てさ、泊まるところがなくてここにいるって感じ」どうだろう。こんな嘘バレちゃうかな。伺いながら、ルナの顔を見る。「そうなんですか⁉︎それは大変じゃないですか⁉︎ちょっと待っててくださいね!」慌てふためきながら、ルナは言う。ルナは、ポケットから、スマートフォンを取り出しどこかに連絡しているようだ。「本当に私たちの住むところと同じじゃないか…」ボソッと私はつぶやいた。ルナは気づいていないようだ。ルナがスマートフォンに齧り付く間に、辺りを見渡した。だだっ広い、草原が前には広がっており、草木が程よく生えていた。後ろを振り返るとおしゃれな、街が広がっており夢で見るような景色が私を包み込んでいた。本当にここどこなんだろう。ただぼーっと一面を見ている。ルナが私の肩をぽんぽんと叩いた。「葵ちゃん。本当に寝泊まりする場所ないんだよね?」こくりと頷き「うん。」と呟いた。「ならさ、うちで泊まって行かない?ここにどれくらい居るのか、わからないけど、ここに居る間はうちで生活していいよって!」「本当に⁉︎ありがとうルナ!」知らない土地にいて心細さを感じないまま、もう住むところまで解決して、色々と運が良いように感じた。それでもやっぱここに居る実感と、ルナにここまで優しくしてもらったことは謎のままである。「ルナ。そういえばルナはなんでここにいるの?」「うーん。なんというか気分転換?ずっと、お家にいるのもあんまりよくないのかなぁって思ってさ。」すごい。私なんか、気分転換に外に出る。なんておしゃれなことはできない。「そうなんだ。じゃあたまたま気分転換しに来てくれたお陰で、助けてもらって。ありがとうね。」「もちろんさ。でも最初は倒れていてびっくりしたよ、なかなか呼んでも気が付いていなかったしさ。」にこっと笑みを浮かばせながら、ルナは言った。「そうだったんだ…全然覚えてないや。ここに来るまでのことも。」そう、言ったが今考えれば、私ここに来る前何してたんだっけ。思い出せない。思い出そうとすると頭がズキズキ痛むような感覚に襲われた。「大丈夫ですか?」顔に出てたんだろう。ルナに気づかれてしまった。「うん。ちょっと頭痛がしてね。でもそんな大したことないから大丈夫だよ。」「そうなんですか…なんか色々大変みたいですね。これから私はお家の方に帰ろうと思うんですが、葵ちゃんもついてきますか?」「もちろん!というかそうじゃないといけないじゃん…」私はクスッと笑いながらそういった。「それもそうですねっ」ルナも笑みを浮かべて、2人並んでルナの家へと向かった。その道中でさまざまな家や建物を見た。案外草原からルナの家は遠いようで、少しずつ私の体力が消耗していった。「あ、案外遠いね…」「そうかもしれないですね。葵ちゃんは旅もあって疲れが溜まってるのかもしれないですね。私はしょっちゅう歩いたりするので、体力だけはついてきてますね!」体力がありすぎてすごいな…それにしてもあたりの建物は小洒落たものが多くてすごい。まるで洋風の世界にいるみたいだ。そんなことを考えて足を動かしていると、いつの間にかルナの家に着いていたらしい。「お疲れ様でした!ここがルナのお家ですっ!」やっぱりルナの家もおしゃれで、レンガ造りなのが洒落ている。「お邪魔しまーす」玄関に入ると、家の見た目ともマッチする、落ち着いたダークな感じの内装になっていた。「そんなにジロジロ見られると恥ずかしいですね…」「あっ、ごめん。立派な家でつい…」「まぁ、そんなことは置いといて、葵ちゃんの部屋はこっちだよ!」るんるんで部屋に行くルナの後ろ姿はなんとも可愛かった。「う、うん!」ルナについて行ってたどり着いた私の部屋。「わぁ、綺麗」きちんと整った部屋で、洋間の個室だった。難しそうな本がずらっと並ぶ本棚があり、頭から足まで伸ばせるくらい大きなソファ。ぬいぐるみなどが入っているガラスケースなどが入っていた。「ここ、使ってない部屋だから、使って!ただ…お掃除が間に合ってなくてちょっと埃っぽいかもしれないけどね…」ルナは「あはは」と苦笑いして見せた。確かに。少し埃っぽくて、綺麗な家には似つかなかった。「適当に掃除しといていい?」「そっちの方が助かる!私は、奥の部屋にいるから、何か困ったことがあったら言ってね。」「ありがとう。」そう言ってルナは私の部屋の扉をガチャリと閉め、自室に帰っていった。「さて、掃除でもしますかぁ」黙々とこの部屋を綺麗にしていった。「ふぅ」やっと終わった。30分くらいしかかからなかったので、案外楽だった。私は、ベットにごろんと寝転がり、ぼんやり今までのことを思い返してみる。……だめだ。どうしても草原からの前のことが思い返せない。思い出そうとすると頭の奥がズキズキと痛い。一旦このことは考えないでおこう。そうして目を閉じていると私はいつの間にか眠っていた–––––––––––


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