重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。
青空に飛び交う2羽の燕。
ツガイかなぁ。
そんなことを思いながら、わたしは緑丘公園の小さな山の上にあるベンチに座り、空を見上げていた。
この公園は遊具もなく、ただ芝生が広がり、小さな山があるだけの公園。
すぐ側に団地はあるが、この公園に来る人はほとんど居ない。
たまにアルトサックスの練習をしに来る人を見掛けるくらいだ。
わたしはスマホで時間を確認すると、そろそろ仕事に行く時間だなぁと思い、ベンチから立ち上がった。
わたしの出勤時間は15時から。
緑丘公園から徒歩10分程先にある買取販売店で働いている。
職場に着くと、私服の上から制服を着て、カウンター内に出る。
このお店で買取、販売しているものは、古本、ゲーム、カードゲーム、フィギュア、CDだ。
特に古本に関しては、買取金額に文句を言うお客さんが多く、対応に時間がかかったりすることもある。
あとは、カードゲームの買取が面倒でわたしは苦手だった。
職場の人たちは、ほとんどが同じ20代くらいの男性で、女性と話すのが苦手な人が多く、わたしは職場の人たちとほぼ会話をしたことがない。
わたし自身もコミュニケーションは苦手なタイプなので、それはそれで別に気にはしていなかった。