重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。
寂しそう?
寂しい、、、って、何だっけ?
「わたし、寂しそうに見えてたんだ。」
「違うの?」
「分かんない、、、ずっと1人だから、寂しいって感情が分からない。」
わたしがそう言うと、巡は少しの間黙っていて、それから「花恋は、感情に蓋して生きてきたんだな。」と言った。
「感情に蓋、、、?そうなのかなぁ。」
「ずっと色んなことに耐えて生きてきたから、感情に蓋をすることが自然と身についたんじゃない?」
巡の言葉を聞き、自分の中で何かが疼くのを感じた。
まるで、巡が言う"蓋"が開きたがっているようにカタンと音を立てたような気がした。
そして、何気なくスマホを見ると、時刻が出勤時間に迫っていた。
「ヤバっ!仕事行かなきゃ!」
「え?今から?」
「15時からなの!じゃあ、わたし行くね!」
そう言い、わたしが立ち上がり山を駆け下りようとすると、後ろから「花恋。」と巡が呼ぶ声がした。
わたしは一度足を止めると、振り向いた。
「お前、よくここ来るの?」
「まぁ、大体は居るかな。」
「そっか、分かった。仕事、頑張って来い。」
巡にそう言われ、わたしは「ありがとう、じゃあね!」と言うと、急いで職場へ向かったのだった。