君との恋は面倒すぎる
俺がそんな自己嫌悪を繰り返していると薫が「俺はさ」と言葉を紡ぎ始める。


「蒼空と仲悪くなりたかったわけじゃないんだよ。友達…、親友だって思ってたから、黙って好きで近付くとか卑怯な真似したくなかった。」


日和にだけじゃない、薫は俺にだってまっすぐ言葉をぶつけてくる。


「(何でそんな小っ恥ずかしいこと言えんの。)」


俺には出来ないからと羨むのと同時に、伝えてくれた薫に感謝の気持ちだった。

いつも素直に言えない俺の代わりにこうして、歩み寄ってくれているから。

どうしてこんな良い奴が俺の近くに居てくれるんだろうって思えて仕方なかったけど、親友だと言ってくれる薫にふと顔の力が緩む。


「…似てるよね、薫も日和も」


何でも口に出して伝えてこようとする所。本当そっくり。

俺も少しずつ、変わらないといけないんだよな。伝えられる様に。


「俺が子供だっただけ。日和を好きになって止める権利なんてそもそもないし、それを怒る権利なんてあるはずなかったんだよ」

「…蒼空」

「だから好きなのを止めるなとかは言わない。でも、俺も渡す気ない。3年掛けてやっと両思いになれたんだ、手放せるわけ無い」


そうはっきり伝えると薫は少し驚いた顔をした後、笑っていた。
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