君との恋は面倒すぎる
たまたま登校時間が被って、今年も見かけてしまったのだけど、蒼空くんが下駄箱をいつもの様に開ける朝。

ガラガラガラガラ…

凄い音を立ててたくさんの小さな箱が落ちる。

朝から蒼空くんが凄く嫌そうな顔をしていた。


「お、おはよう?」


恐る恐る蒼空くんに声を掛けると、こちらを無表情で見て「おはよ」と挨拶を返してくれる。


「うっわ、すっげぇな」


後ろから薫くんの声も聞こえてきて、蒼空くんのチョコの量を見ている。


「え、薫くんも朝からすごい荷物だね?」

「ああ、今登校して来る時渡されて、どうやって持って帰ろうね」


なんて言いながら呑気に笑っている。

蒼空くんはそんな様子を気にすることも無く、黙って落ちたチョコを拾っている。

蒼空くんは中学から一緒の子は特に知っているのだけど、直接物を渡しても基本的に受け取ってくれない。

だからこうしてロッカーや下駄箱、机の中、時には教室に置かれた鞄の中に入れられたりしていた。

無理矢理渡されたものに関しては学校では捨てる訳にもいかず、そのまま持って帰るしかないからだ。
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