君との恋は面倒すぎる
「あ…、無理に食べなくても」

「これがいい。七瀬も早く座れば。」


そう言って隣の席の椅子を引いてくれる。

促されるままストンと座って「いただきます」と両手を合わせて箸を持って、料理に手を付ける蒼空くんを眺めていた。

緊張して感想を待っていると、蒼空くんは飲み込んでから「美味いよ」と伝えてくれた。

こんなボロボロのお弁当なのに食べてくれて、それで美味しいって伝えてくれる。

私、この人を好きで居られてよかった。

諦めなくてよかったと何度も思った。

緊張もようやく解けて涙が流れる。


「よ…、良かった…!」


蒼空くんが手の甲で私の目から流れる涙を拭ってくれる。

優しく、傷つけないようにと大事に触れてくれている気がして、こんな所にも蒼空くんの優しさを感じる。


「…ありがとう」


お礼を言ってくれる蒼空くんに首を横に振る。


「私こそ食べてくれて、ありがとう!」


お弁当、失敗しちゃったけど、蒼空くんの優しさで私も笑って前を向ける。

これもいつか思い出だって言えたら。

そのくらい長く蒼空くんの彼女でいられたらいいな。
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