無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇時間経過
舞が終わり、舞台から降りる美恋。
香云を見つけて上気した頬のままかけよる。
美恋「みた!? みた!? 今日の舞、今までで一番良かったと思うんだけど!」
香云「はいはい。良かったんじゃねーの」
美恋「えっへへへ」
香云「ニヤニヤしてんじゃねーよ」
褒めてと言わんばかりの美恋の額を軽く小突く。
美恋「あいたっ! ちょっと~!」
香云「なんだよ。もっと褒めろって? いっそのこと犬みたいに撫でまわしてやろうか?」
美恋「そ、それは勘弁してっ! 飾りがあるんだから」
美恋は頭につけていた飾りを庇うように隠す。
香云「つかそれ、重いだろ。さっさと着替えてこいよ」
美恋「あ、うん。……そうだ。さっき舞台から日芽ちゃん見つけたから、後で会いに行こう!」
香云「はいはい分かったから、とっとと邪魔なもんとってこいって」
美恋「はーい。じゃあちょっと行ってくるね!」
美恋は舞を終えた高いテンションのまま会場の奥にある家へと向かった。
後に残った香云は先ほどの舞を思いだして頬を掻く。
美恋の手前ポーカーフェイスを作っていたが、実は照れていた。
女性1「ねえ、やっぱり神社の人に言った方がいいよね?」
女性2「うーん。一応そうする?」
香云(ん?)
そうしていると、すぐ近くで困ったように話している女性たちに気がつく。
女性たちはなにやら不安そうにあたりを見回していた。
香云「あの、どうかしました?」
女性1「あっ、えと」
女性2「さっき、変な人をみかけて……」
香云「変な人?」
女性1「その、物陰からちらちら巫女さんのことを見ていたというか……」
女性「ね。なんか物色してるような感じだったよね。だから一応神社の人に伝えておこうかなって思って」
香云「不審者、ということですか?」
女性1「考え過ぎかなとも思ったんですけど……」
顔を見合わせる女性たち。
香云(……)
嫌な予感がした香云は、女性たちに神社の人たちに神職の居場所を伝え、すぐに走り出した。
(引きで、家に向かう美恋の後ろに怪しい足がある描写)