無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~

 〇教室・放課後

 数日後、ようやくいつも通りの日常に戻った美恋と日芽花(ひめか)が話をしている。


 日芽花「美恋、本当に大丈夫なの?」
 美恋「うん。別に腕を掴まれただけだし、特に被害もなかったから」

 日芽花「腕を掴まれただけっていうけどさー、それって相当怖いよ? しかも犯人最近目撃情報の多かった不審者だったんでしょ?」
 美恋「そうみたい」


 あの後すぐに駆けつけた警察に、美恋も少しだけ話を聞かされた。

 美恋の推理通り、あの不審者は小中学生を狙ったロリコン野郎だったらしい。


 美恋「……ていうか私、中学生に見られてたって言うのが不服(ふふく)なんだけど」


 げんなりとする美恋。


 日芽花「あ、ははは。まあ身長もそんな高くないし、巫女服姿だったから、巫女=幼女みたいに思われたのかも? まあなにはともあれ、美恋になにもなくて本当によかったよ~」


 日芽花に抱きしめられる。


 美恋「心配させてごめんね。それから、あの日はあの事件があって、会いに行けなくてごめん」

 日芽花「それは全然大丈夫だよ! あたしはそれより、美恋が外が怖くなっちゃわないかが心配だな……」
 美恋「ありがとう。でも大事になる前に香云が助けに来てくれたから、全然そんなことにはなってないよ! それよりも……」


 事件の後のことを思いだし、赤面する美恋。
 日芽花は目ざとくニヤニヤしだした。


 日芽花「なになに~? 顔が恋する乙女みたいだよ~?」
 美恋「うっ」

 日芽花「香云くんと進展あったの?」
 美恋「そ、それがね……」


 美恋もじもじと指をいじる。


 美恋「あの日以降ね、なんだか香云が格好良く見える様になっちゃって」


 (回想)

 事件以降、必ず香云が送り迎えをしてくれるようになった。

 今まで気にならなかったはずの仕草や行動に、いちいちキュンとしてしまうようになった。

 それもこれも、全部自分を気遣ってくれていると気がついたから。


 (キュンポイントダイジェストで)


 ・荷物を持ってくれる

 ・車道側を歩いてくれる

 ・高いところにあるものを取ってくれる

 ・お礼をいうとはにかむように笑うところ


 (回想終了)


 美恋「そ、それにね。一緒にご飯を食べるなんて、今までドキドキしたことなんてなかったのに……。なんか顔を見ていられなくて……顔が熱くなってそっぽむいちゃうの」

 日芽花「きゃーーー!! やだー! かわいい~~!!」
 美恋「これってやっぱりそう言うこと、なのかな……?」


 若干(じゃっかん)(うる)んだ目で日芽花を見る。


 日芽花「んふふふ。それはあたしからは言えないけど、その顔を見る限りはもう答えが出てるんじゃない?」
 美恋「……うん。そう、かも」


 美恋、意を決した表情で顔を上げる。


 美恋「私、今日返事する! 告白されてから時間が経っちゃったけど、大丈夫かな?」


 悩んだ期間と、神事(しんじ)や事件があった影響で、既に告白から2週間が経っていたから不安な美恋。


 日芽花「大丈夫だよ! 香云くん、そんなことで冷めるような人じゃないって、美恋が一番分かってるでしょ」
 美恋「そうだよね! よし、じゃあ今日の帰りに……って、そう言えば今日はお迎え遅いような?」


 時計を見ると既に最終下校時刻が近い。


 日芽花「そう言えばそうだね。まあもうすぐ来るんじゃない? あっくん(日芽花の彼氏)ももうすぐくるみたいだし」
 美恋「そうだね。……なんだか緊張してきちゃった。ちょっとトイレに行ってくるね」

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