無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇一階の廊下(渡り廊下の近く)
トイレから出てきた美恋。
渡り廊下の裏から声が聞こえてくることに気がつく。
美恋(この裏って、告白スポットじゃなかったっけ? もしかして、誰かが告白しているのかも)
気になるが立ち聞きはよくないと離れようとする美恋だったが、ふと聞き覚えのある声が聞こえたような気がして足を止める。
美恋(この声って……)
聞きなれた、それこそ昔からずっと聞いていた声――香云の声だった。
美恋「……」
美恋は葛藤の末、少しだけ様子を伺おうと声の方へと向かい、壁からそっと覗く。
美恋(……やっぱり香云だ)
女の子が奥、香云が手前にいる状態で、美恋からは香云しか見えない。
美恋(ここからだと会話の内容までは分からないけど……たぶん告白、だよね?)
少し見ていると、香云が動いた拍子に女の子の顔が分かった。
美恋(あの子……!)
女の子は美恋が香云に告白された日に相談を受けていた美少女下級生だった。
美恋(も、もしかしてあの子の好きな人って……香云、なの!?)
ショックを受ける美恋。
受けていた相談が香云のことだったことを知り複雑な気分に。
美恋(うそでしょ!? あんな美少女に告白されたら……)
一気に不安になった美恋がこそこそと見続けていると、何やら女の子の方が感情を激しくしだした。
美恋(もしかして、フったのかな)
ホッと胸をなでおろす。そのとき
美恋(!?)
女の子が香云の胸に飛び込み、顔を近づけたのが見えた。(※美恋目線では。香云の後ろに女の子という位置関係ではっきりとは見えていない)
雷が落ちたようにショックを受ける美恋。
美恋(な、なに? キス……したの!?)
戸惑う美恋だったが、香云が女の子を振り払うそぶりを見せないことにさらにショックを受ける。
それ以上見ていられずに、その場から逃げ出した。
〇教室
日芽花「おかえり~。って、えっ!? ちょ、ど、どうしたの!?」
戻ってきた美恋に振り返った日芽花、泣き出しそうな美恋の顔を見てぎょっとする。
美恋「日芽ちゃん……どうしよう。もうどうしたらいいのか、分からないや」
(慌てる日芽花と共に美恋のモノローグ)
どうして。どうして、あんな……。
疑いたくなんてないのに、あんな場面を見せられたら……。
せっかく覚悟を決めたのに、いったい、どうすればいいのだろう?
(モノローグ終了)