無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
4話 勘違い
(前回の回想から美恋のモノローグ)
香云に返事をする。
そう決めたけれど、下級生の美少女と香云がキスをしている現場を見てしまった。
しかも香云も振り払うこともなく、受け入れていたようにみえた。
香云はいったい、どういうつもりなんだろう?
あんな衝撃な場面をみてしまったら、告白の返事をする勇気なんてなくて……。
(モノローグ終了)
〇美恋の家・夜
怒った顔の香云に詰め寄られている状態の美恋。
一緒に帰ることもできず、美恋は香云をおいて下校していた。
香云「ねえ。なんで俺を待たずに帰ったんだ? あんなことがあったんだから、しばらくは送り迎えするって言っただろう」
美恋「……今日は日芽ちゃんたちに送ってもらったから大丈夫」
美恋はうつむいたまま冷たく返す。
美恋(今香云の顔を見たら、きっと泣いてしまうから)
不信に思った香云は美恋の顔を覗き込んでくるが、そっぽを向く。
香云「……体調でも悪いのか?」
美恋「違うよ。ただ疲れているだけ。べつに香云に心配されるようなことじゃないから、ほっといて」
香云「あっ、おい!」
美恋は香云のそばをすり抜けて自分の部屋へ。
美恋「……はあ」
美恋はドアを背に涙をにじませる。
美恋(香云は心配してくれているのに、顔を見たくなくて冷たい言葉ばかりかけちゃうなんて……自分が嫌になる)
美恋(でも……)
ズルズルとその場に座り込む美恋。
美恋「どんな顔すればいいか分からないんだもん……」
美恋の頭の中で香云と下級生がキスしている場面が何度も再生される。
美恋(なんで香云はキスを受け入れたのかな)
美恋(あの子と……付き合うのかな)
美恋(私のことは、あの言葉は嘘だったのかな)
考えても考えても一向に答えなど出ず、ため息が零れ落ちる。
美恋(何かの間違いだって、私の見間違いだって信じたいけど……。でもいいきれる自信がないよ)
美恋「私……可愛くないなぁ」
顔を覆ってつぶやく美恋の目には涙が。