無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇教室・放課後
ぐったりと机に突っ伏した美恋。
その向いには日芽花が座っている。
美恋「つ、つかれた……」
日芽花「あっはははは! 毎日毎日すごいもんね二人とも。美恋、モテ期来てるじゃない」
美恋「笑わないでよ。こっちは割と切実に悩んでるんだから。っていうか、こうなったのは日芽ちゃんのせいでもあるんだからね!?」
日芽花「だって人の恋愛見てるの楽しいんだもの!」
美恋「もう! 見世物じゃないんだから!」
日芽花「ごめんって! ……それで、どうするの?」
美恋「どうって」
日芽花「二人のうちどっちと付き合いたいとか、好きだなとか思うことはないの?」
美恋「それは……」
悩むそぶりをみせる美恋。
美恋(香云のことは兄妹のように思っていたけど、告白されてから認識を改めた)
美恋(朝灯くんに関してはまだわからないことが多いけど、行動や言葉がイケメン過ぎて混乱してしまう)
美恋(でも二人とも私が……その好き、ってことはよく伝わってくるし……)
二人の言葉に嘘がないということはもう美恋もわかっている。
美恋「……正直、頭が全く追いつかないんだよね。ついこの間まで、自分が恋愛できると思っていなかったくらいだし」
日芽花「まあ急にいろいろ変わりすぎたもんね」
日芽花の言葉に全力で頷く美恋。
日芽花「でもさ、ずっとこのままってのもよくないし、いずれはどちらかを選ばないといけないよ」
美恋「それは……分かってるよ」
二人の気持ちを知りながら、どちらにも返事をしていないこの状況がよくないということは美恋もはっきりと感じていた。
日芽花「まあ~、あたしがややこしくしたって気もあるからちょっと助言しておくね」
日芽花は頬を掻いて口を開く。
日芽花「あたしは正直、二人とも誠実だし、美恋を幸せにしてくれると思うよ。でもさ、あたしが許しても神社の人たちから認められるかどうかっていうのは別問題なんだよね。だから現時点では香云くんの方が有利かも?」
美恋「神社の人たちって?」
日芽花「お兄さんやおじさんたちのことだよ~」
美恋「? どうしてそこでお兄ちゃん達が出てくるの?」
日芽花「ん? あれ、もしかして知らない??」
やべっという顔になる日芽花に、笑顔で詰め寄る美恋。
美恋「どういうことかな日芽ちゃん?」
日芽花「え、ええ~っと」
美恋「何を隠しているのかな? さ、言ってみな?」
日芽花「黙秘権は?」
美恋「あるとお思いで?」
顔を引きつらせた日芽花、口を割る。
日芽花「実はね……」