無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇神社・秋くらい
七五三祝いで神社を訪れていた香云。
記念撮影に嫌気が指して逃げ出したところで、着物で境内を歩いていた美恋を見つける。
当時の美恋は今よりも存在が希薄で、すぐにでも消えてしまいそうな雰囲気で舞の練習をしていた。
幼い美恋は香云に気がつくとおっとりと笑った。
初めて見る子に近寄ろうとした香云だったが、そこに母親が探しにくる。
香云の母『香云? こんなところにいたのね。……あら、美恋ちゃん!? まあまあ! 可愛く着飾って~! もう着物も着れるようになったのね~』
母の言葉に、香云は本能的に美恋が母親の関心を奪っていた子だと気がつく。
今まで溜めていた不満が全部美恋へと向かい、その場にいたくなくて逃げるようにその場を離れた。
それからも仲良くしてあげてと言われたが、香云は頑なに拒否し続けていた。
〇時間経過(6歳くらい)
香云の秘密の逃げ場所にやってくる美恋。
香云に紅白の縁結びの糸を使ったブレスレットをプレゼントする。
幼い美恋『香云くん、コレあげる』
幼い香云『いらない。あっち行けよ。なんでお前が来るんだよ』
香云は母が来ない&嫌いな美恋が来たことに腹をたててそっぽを向いている。
幼い美恋『そんなこと言わないで。これね、皆で作ったんだよ。縁結び? っていって神様の力で、もっていれば仲が深まるんだって』
幼い香云『いらないって言ってるだろ!』
幼い美恋『でも……』
幼い香云はイラついて、美恋に無理難題を押し付けた。
幼い香云『そんなに貰ってほしいなら、ここで夜まで舞でもしていろよ』
幼い美恋『え?』
幼い香云『やらないならやらないでいいよ。そのかわり、お前とももう話さないだけだから』
どうせできっこないと思い、香云は走って帰宅した。