無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇帰り道・夕方
水族館デートの帰り道。夕暮れの海辺を歩いている。
香云「もうすぐ夏休みがくるな」
美恋「そうだね。忙しくなるなぁ」
縁結び神社は、七夕から夏にかけてが繁忙期。
年に一度の恋愛イベントである七夕は、恋する女の子たちでいっぱいになる。
美恋「それに夏祭りもあるからね。今年も地域共同でやるから、規模も大きいし、灯篭の準備もしないと」
香云「この街の一大イベントだもんな。美恋、今年はどうするんだ?」
美恋「私? うーん。いつも通りかな。午前中は神社のお手伝いをするけど、夜は遊びに行ってもいいって言われると思うよ」
神社は基本的に夕方には閉めるし、夜は毎年遊びに行っている。
香云「そっか。じゃあ夜は一緒に回らないか?」
美恋「え?」
香云「灯篭祭り。いつもは別々だったけどさ、今年は一緒に行きたい。……ダメか?」
突然の誘いに驚くも、首を横にふる美恋。満面の笑みに。
美恋「ううん! 誘ってくれて嬉しい!」
香云「よかった」
ほっとしたように笑う香云。
香云「……まあでも、その前に期末テストがあるからな。そっちも頑張らねーと」
美恋「うっ」
目を反らす美恋。勉強は苦手意識があった。
香云「大丈夫だって。俺が教えるし。一緒にがんばろうぜ」
美恋「まあ、それなら……」
頭を撫でられてしぶしぶ頷く美恋。
それに笑う香云。
帰り道には笑みがあふれていた。