無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
9話 お勉強会のハプニング・前編
〇放課後・教室
美恋と香云、そして日芽花+暁彦が勉強会を開いている。
机に並べられた教科書の上に突っ伏した美恋を見て苦笑いを浮かべる日芽花。
美恋「…………もうムリ。わかんない……」
日芽花「あ、ははは。なんで基礎はできるのに応用はダメなんだろうね?」
美恋「日芽ちゃん、それ、とどめなんよ」
言葉の矢が美恋に突き刺さる。
美恋は壊れた機械のように黒い煙をだして再び教科書に沈んだ。
呻くように不満をぶちまける。
美恋「だって必要性を感じないよ。なんで動くの点P。止まっててよ……」
日芽花「それはそう」
美恋「円柱の面積を求めたからってどうなるの? 普段面積を気にするとかある?」
暁彦「まあないかな」
その後も突っ伏した美恋から嘆きの言葉が聞こえてくる。
美恋は日常生活で必要なことは頭に入るが、そうでない者は入らない質。
香云「つってもできないと赤点になるだろ」
美恋「うっ」
香云「赤点取ったら補講受けないといけいけど、祭りの準備期間と被るから受けられないって言ってなかったか?」
美恋「……ぐうの音もでません」
こう見えてふざけているわけではないのだが、香云と美恋のやり取りがツボに入ったらしい暁彦はずっとゲラゲラと笑い転げていた。
そして日芽花に叩かれている。
日芽花「ごめん。一応先輩だし、頭いいから助けになるかもって連れてきたけど、笑ってばかりだからもう連れてくね」
美恋「ふぁい。ありがとうね日芽ちゃん」
日芽花「たいした助けにはならなかったと思うけどね」
日芽花は苦笑いをこぼし、暁彦を引きつれて教室から出ていった。
それからしばらく香云と二人で勉強に励んでいたが、最終下校を知らせるチャイムが鳴ってしまう。
美恋「えーん。もうわかんないよ~」
香云「まだ厳しそうだよな。つってももう帰らないといけないし……」
美恋「私終わってしまう……」
どんよりと顔を曇らせる美恋。香云は少し考えた後口を開いた。
香云「じゃあさ、俺の家で勉強の続きするか?」
美恋「……え?」