無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇香云の部屋・夜
美恋の家は祭りの準備でバタバタしていて集中できないということから、香云の部屋で勉強をすることになった。
香云は丁寧に教えてくれているけれど、美恋は集中しきれない。
香云「――で、ここがこうなるから、この式を使って……」
美恋「ふ、ふーん。なるほど?」
美恋(いやいやいや! 付き合いだして初めて香云の部屋にきて、集中できるわけなくない!?)
真面目な顔で聞いているふりをしているが、香云の一挙一動に落ち着かない。
しかも部屋から香云の香りがしていて、意識せずにはいられなかった。
美恋(自分のことながら、今までよく平気で入っていたな!?)
気になってしまえばもう平気なふりなどできない。
ふいに香云の手が触れただけで大袈裟に反応してしまう。
香云「美恋?」
美恋「あ……っ」
真っ赤になって黙り込む美恋に、何かを察した香云はにやにやとする。
香云「何考えてるの? やーらしい」
美恋「は、はああ!? べ、べべつに意識とかしてませんけど!?」
図星を突かれて慌てた美恋、盛大にカミングアウトしてしまう。
そのことに気がついて口を押さえるも、ばっちり聞かれてしまった。
香云「ふーん?」
美恋(ぼ、墓穴ほっちゃった!?)
香云「ま、しょうがないからそう言うことにしておいてあげるか。俺、飲み物とおやつ持ってきてやるよ」
香云は足早に退室していった。