無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇時間経過
夕飯の片づけをし終わり、まったりしている二人。
美恋は夕飯中に聞いた香云の本命が気になって仕方がない様子。
美恋「で、誰なの?」
香云「……まだ続くの? その話」
美恋「当然!」
香云「なんでそんなに気になるの」
美恋「そりゃあ幼なじみのことだもん!」
香云「……幼なじみ、ねえ」
香云は読んでいた本を置き、美恋を見つめる。
香云「そう言うこと聞いて、やぶへびになると思わないの?」
美恋「やぶへび?」
香云「俺の本命がお前だったら、どうするのかってこと」
美恋「まっさか~!」
香云の言葉に美恋、笑ってしまう。
香云「……冗談だと思うんだ?」
美恋「香云?」
低くつぶやいた香云に首をかしげると、ふいに距離をつめられた。
香云「じゃあいうけど、お前だよ」
美恋「な、なにが?」
香云「本命」
真剣な表情の香云に、笑顔が固まる。
美恋「……えっと、なに言って?」
香云「だから、俺の本命はお前だって言ってんの」
美恋「っ、え、だって香云は幼なじみで……」
香云「……はあ。お前が俺のことをそういう風に見ていないのは知っていたけどさ」
少し不機嫌そうににじり寄ってくる香云に、思わず後ずさる。
けれどすぐに壁に背がついてしまった。
慌てて逃げようとすると、腕で逃げ道をふさがれ壁ドン状態に。
香云「いい加減、俺を男として見ろ。幼なじみとしてじゃなくて、一人の男として。……好きなんだよ。お前のことが」
美恋「……っ!」
真剣な表情で告げてくる香云からは、茶化している様子はなく、パニックになる美恋。
思ってもみなかった展開に美恋は完全に固まってしまう。
香云はそんな美恋をしばらく見つめると、体を離した。
香云「……返事はいつでもいいから、とにかく考えてみて」
美恋「え、あっ、っちょ!」
香云はそう言い残して家を出て行ってしまった。
一人取り残された美恋は上げた手もそのままに、呆然としている。
美恋「香云が、私を?」
美恋「……~~~っ!?」
口にするとようやく意味が飲み込めてきて、一気に顔が熱をもつ。
美恋「ど、どうしよう」
心臓が耳のすぐ近くにあるみたいにドクドクと激しい音が聞こえる。
美恋は顔を真っ赤にして、ズルズルとその場に座り込んでしまうのだった。