無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~

 〇香云の部屋(香云視点)

 美恋が帰った後。部屋で(うずくま)り赤くなった顔を覆う香云。


 香云「……やっちまった」


 香云(手をだすつもりなんてなかったのに)


 盛大なため息を吐き出し、髪をかき上げる。


 香云「……あれはダメだろ」


 唇の感触を思いだし、首まで赤くなる。



 (香云のモノローグ)


 美恋の唇が頬に触れた瞬間、今まで我慢していた感情が流れ出した。

 美恋の気持ちに整理がつくまで待とう。そう思っていたはずなのに、いとも簡単にその決意が揺らいでしまったのだ。


 自分の中にある欲望が顔を出してしまえば、止まることなどできず……。

 気がつけば美恋をベッドに追いつめて覆いかぶさっていた。



 自分の下に美恋がいる。

 その目には俺しか映っていない。


 (かすみ)がかかったような意識の中、それだけははっきりと分かった。



 俺の手を振りほどけない非力さ。

 必死にキスに応えてくれるいじらしさ。

 赤くなり、涙目で見上げてくる眼差し。

 甘え声で俺の名を呼ぶ声……。



 そのすべてが俺を熱くさせて、理性を溶かしていった。

 美恋がほしい。美恋に触れたい。触れてほしい。

 そんな想いが頭を支配していた。

 むさぼるようにその唇を塞げば、もっと、もっとと欲深くなっていく。

 もしもあの時「マテ」と言われなければ、きっと今頃……。



 (香云のモノローグ終了)

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