無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~

11話 望まない再会


 〇学校・廊下

 いつものメンバー(美恋(みこ)香云(かい)日芽花(ひめか)暁彦(あきひこ))で集まっている。

 美恋は両腕を伸ばして晴れやかな顔で涙を流していた。


 美恋「テスト、終~了!!」
 日芽花「いえーい! お疲れ~!」


 美恋と日芽花は手を取り合ってきゃっきゃとしている。


 日芽花「後は返却を待つだけだね~! で、美恋はどうだったの?」
 美恋「あ~」


 それまでのハイテンションが嘘のように(しな)びる美恋。

 それだけで察する三人。


 香云「やっちまったっぽい?」

 日芽花「やだ。ダメそう」

 暁彦「うーん。これは……」



 美恋「皆ひどくない!? 大丈夫だよ……たぶん!」


 根拠(こんきょ)のない自信にあふれた美恋は親指を立てた。
 (あわ)れむような視線を向ける三人。


 美恋「やめて~! そんな目で見ないで!」

 美恋「いいの! もうやれるだけやったんだから!」



 日芽花「まあそれはそうよね。今更考えても仕方がないわ。それに……」


 日芽花はなぜかにやにやと視線を向けてくる。


 日芽花「美恋今回はすごく勉強に打ち込んでいたし、大丈夫なんじゃないかしら?」

 美恋(!)


 日芽花の言葉にぎくりとする美恋。

 勉強に打ち込んでいたのは香云とのことがあったから、考えないように打ち込んでいた。


 美恋(日芽ちゃんには言ってないはずだけど……)


 ちらりと日芽花を見ると、相変わらずのニヤニヤ顔。


 美恋(ダメだ。これは何か察しているときの顔だ)


 日芽花「あんなに勉強に打ち込んでいた美恋、見たことないなぁ~。きっと何かあったんだろうな~」

 日芽花「そう言えば、香云くんもいつもと様子が違っていた気がするし~?」

 日芽花「あら、あらら? もしかして~?」


 美恋「うわあああ!」


 日芽花は完全に楽しんでいる。


 美恋「もう日芽ちゃん! 変な勘違いはやめてよ!」
 日芽花「あら、勘違いなの? 本当に?」

 暁彦「なんの話?」
 日芽花「そう、聞いてよ。あっくん! この二人ね、最近表面上はいつも通りに見えるけどね、よそよそしいというか、何と言うか」

 暁彦「あ~。なるほど」
 美恋「わあああああ!」


 日芽花に乗っかった暁彦もニヤニヤしてくるように。
 真っ赤になった美恋、鞄で顔を隠す。


 日芽花「いいのよ、恥ずかしがらなくても」
 美恋「ちが、違うから!」

 日芽花「それにしても香云くん! 意外だったわ。ようやく進展したと思ったら、進みが早いのね?」
 美恋「きいて、日芽ちゃん!」


 美恋の制止も(むな)しく、日芽花はニヨニヨと香云に絡んでいく。


 香云「おま、下世話な想像してんなよ」
 日芽花「あらあら~。二人して赤くなって可愛いったら」

 香云「お前が思っているようなこととはちげーって!」
 日芽花「そういうことにしてあげますか~」


 散々からかった日芽花は満足そうに頷いた。


 暁彦「あはは。ひめがごめんね。二人が進展して嬉しいみたい。オレも嬉しいよ」
 美恋「暁彦くんも絶対勘違いしてるからね!?」

 暁彦「まあそれはともかく」
 美恋「この二人、人の話きかないなぁ!?」


 ツッコミに疲れた美恋と香云。

 対する日芽花と暁彦は夏休みの話で盛り上がる。


 暁彦「テスト返ってきたら後はもう夏休みだね」
 日芽花「ねー! 楽しみ~。二人はどこか行くの?」

 美恋「ん~。この時期は忙しいから遠出はできないと思う」


 疲れから復活した美恋は少し考えながら答える。
 美恋の答えに、日芽花は納得したように頷いた。


 日芽花「灯篭(とうろう)祭りがあるもんね~。今年もお手伝いするの?」
 美恋「うん。夕方までは神社でおみくじとかお守りとかの番をするつもりだよ」

 日芽花「そうなんだ。じゃああたし達、美恋の様子を見にいくよ!」
 美恋「え? 来てくれるの?」

 日芽花「もちろん! いいよね? あっくん」
 暁彦「もちろん。そう言えばオレのねーちゃんも祭りの時期に帰ってくるって言ってたし、神社のお守りをおススメしておこうかな。売上に貢献(こうけん)させるよ」

 美恋「あはは。ありがとう。楽しみにしているね」


 暁彦はおっとりとほほえんだ。
 美恋も笑って答える。


 美恋(お姉さんか……。全然知らないけど、どんな人だろう?)


 (美恋のモノローグ)

 気にはなったけれど、今はそれよりもお祭りの準備を急がないと。
 これからが一番忙しいのだ。


 (お祭りになるまでの日々をダイジェスト)


 ・テスト返却(ぎりぎり数学の赤点を回避して喜ぶ美恋)

 ・祭りの準備でバタバタ走り回る美恋

 ・おみくじなどの神社の準備と、会場の整備などの打ち合わせなど


 (ダイジェスト終了)


 慌ただしく時は流れ……。


 〇神社・境内
 人で賑わい、忙しくしている美恋。


 ついに灯篭祭り当日になりました!


 (美恋のモノローグ終了)


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