無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇神社・境内
朝からひっきりなしにおみくじを引く人やお守りを買い求める人で溢れている。
参拝者1「すみませーん。この縁結びの糸ください」
美恋「はい、ただいま!」
団体参拝者2~5「おみくじ引きたいんですけど、百円玉なくて……」
美恋「こちらで両替いたします」
神職1「陽縁さん、これ追加のお守り!」
美恋「ありがとうございます! 並べておきますね」
他の巫女「そっちのやつ取ってもらえるかな?」
美恋「これですか? どうぞ!」
美恋(い、忙しい……!)
美恋、バタバタと仕事に追われている。
結局人の波が切れるのは昼過ぎ、神社の受付が終了する少し前の時刻だった。
仕事が大方片付き、奥に引っ込み机に突っ伏す美恋。
巫女の仕事は意外と体力勝負みたいなところがある。
美恋「はあ~。疲れた……」
そこに兄・紗月も戻ってくる。
兄「お疲れ美恋。水分と塩分ちゃんととるんだぞ」
美恋「分かってるよ~。お兄ちゃんたちは大丈夫?」
兄「もちろん。筋肉のコンディションもいいぞ。これなら夜の出し物も万全の状態で望めそうだな!」
美恋「……元気だねぇ」
マッスルポーズを決める兄を放っておいて窓の外を見る。
美恋「にしても、今年もすごい多いね」
兄「まあ一大イベントだからな」
灯篭祭り:この地域の一大イベント。本番は夜で、陽が沈むと皆が灯篭を持ち練り歩く。その灯りがゆらゆらと煌めいて幻想的なことと、縁結び神社で有名なことから、恋人たちや恋する人たちの決戦の場になっている。
兄「もう灯篭を買っている人もいるみたいだな。皆気合が入っているらしい。やはりクライマックスに行われる灯篭流しのジンクスにあやかりたい人が多いんだろうな」
美恋「まあそりゃあロマンチックだもん。『想い人と共に流した灯篭が寄り添っていけば、この先その相手と離れることはない』だっけ?」
兄「ああ。いつの間にかそう言われるようになったな。……まあ、灯篭にそんな効果はないと思うが」
兄は苦笑いを浮かべた。美恋もつられて苦笑い。
美恋「灯篭は実はウチ、無関係だもんね」
※灯篭流しの灯篭は縁結び神社は一切関わっていない。商店街の人達の発案だった。
美恋「商店街の人たちは年に一度のかき入れ時だって喜んでたけど、ウチとしてはどういう顔したらいいか分かんないよね」
兄「ははは。まあでも、ようは心の持ちようだからな、こういうのは。楽しんだ者勝ちさ」
美恋「あはは、それは言えてるかも」
兄「美恋もこれから香云と回るんだろ?」
美恋「うん。そのつもり」
兄「そうか。ならもう着替えておくといい。浴衣着てくんだろ?」
美恋「え、でもまだ時間残っているし、その後も片付けが……」
兄「いいさ。ずいぶん手伝ってくれたから、後は俺たちでやっておく」
兄は美恋の頭を撫でるとニコリと笑った。
兄「そう言えばここに来る途中、日芽花ちゃんを見かけたぞ。会いに来てくれたんだな」
美恋「あっ、来てくれたんだ!」
兄「ああ。早くいってやりな」
美恋「ありがとう、お兄ちゃん!」
日芽花達が来ていると聞き、表に向かう美恋。
境内に出ればすぐに浴衣姿の日芽花達を見つけることができた。
朝からひっきりなしにおみくじを引く人やお守りを買い求める人で溢れている。
参拝者1「すみませーん。この縁結びの糸ください」
美恋「はい、ただいま!」
団体参拝者2~5「おみくじ引きたいんですけど、百円玉なくて……」
美恋「こちらで両替いたします」
神職1「陽縁さん、これ追加のお守り!」
美恋「ありがとうございます! 並べておきますね」
他の巫女「そっちのやつ取ってもらえるかな?」
美恋「これですか? どうぞ!」
美恋(い、忙しい……!)
美恋、バタバタと仕事に追われている。
結局人の波が切れるのは昼過ぎ、神社の受付が終了する少し前の時刻だった。
仕事が大方片付き、奥に引っ込み机に突っ伏す美恋。
巫女の仕事は意外と体力勝負みたいなところがある。
美恋「はあ~。疲れた……」
そこに兄・紗月も戻ってくる。
兄「お疲れ美恋。水分と塩分ちゃんととるんだぞ」
美恋「分かってるよ~。お兄ちゃんたちは大丈夫?」
兄「もちろん。筋肉のコンディションもいいぞ。これなら夜の出し物も万全の状態で望めそうだな!」
美恋「……元気だねぇ」
マッスルポーズを決める兄を放っておいて窓の外を見る。
美恋「にしても、今年もすごい多いね」
兄「まあ一大イベントだからな」
灯篭祭り:この地域の一大イベント。本番は夜で、陽が沈むと皆が灯篭を持ち練り歩く。その灯りがゆらゆらと煌めいて幻想的なことと、縁結び神社で有名なことから、恋人たちや恋する人たちの決戦の場になっている。
兄「もう灯篭を買っている人もいるみたいだな。皆気合が入っているらしい。やはりクライマックスに行われる灯篭流しのジンクスにあやかりたい人が多いんだろうな」
美恋「まあそりゃあロマンチックだもん。『想い人と共に流した灯篭が寄り添っていけば、この先その相手と離れることはない』だっけ?」
兄「ああ。いつの間にかそう言われるようになったな。……まあ、灯篭にそんな効果はないと思うが」
兄は苦笑いを浮かべた。美恋もつられて苦笑い。
美恋「灯篭は実はウチ、無関係だもんね」
※灯篭流しの灯篭は縁結び神社は一切関わっていない。商店街の人達の発案だった。
美恋「商店街の人たちは年に一度のかき入れ時だって喜んでたけど、ウチとしてはどういう顔したらいいか分かんないよね」
兄「ははは。まあでも、ようは心の持ちようだからな、こういうのは。楽しんだ者勝ちさ」
美恋「あはは、それは言えてるかも」
兄「美恋もこれから香云と回るんだろ?」
美恋「うん。そのつもり」
兄「そうか。ならもう着替えておくといい。浴衣着てくんだろ?」
美恋「え、でもまだ時間残っているし、その後も片付けが……」
兄「いいさ。ずいぶん手伝ってくれたから、後は俺たちでやっておく」
兄は美恋の頭を撫でるとニコリと笑った。
兄「そう言えばここに来る途中、日芽花ちゃんを見かけたぞ。会いに来てくれたんだな」
美恋「あっ、来てくれたんだ!」
兄「ああ。早くいってやりな」
美恋「ありがとう、お兄ちゃん!」
日芽花達が来ていると聞き、表に向かう美恋。
境内に出ればすぐに浴衣姿の日芽花達を見つけることができた。