無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~

 〇文字書きブース

 せっかくなので願い事を書きいれて灯篭を仕上げることにした二人。
 周りの客は願い事や感謝の言葉をかきいれている人が多い。


 美恋「香云は何書くか決めた?」
 香云「まあな」

 美恋「え、なに?」
 香云「秘密」


 香云はニヤリと笑って指を立てた。


 美恋「えー? 教えてよ~」
 香云「だーめ。こういうのは願掛(がんか)けみたいなもんだろ? 人には教えないよ」


 むうっとなる美恋だったが、それもそうかと納得する。


 香云「美恋はどうするの?」
 美恋「どうしようかな~」


 考える美恋。


 美恋(楽しい日常がずっと続きますように?)

 美恋(家族や神社の皆が幸せでいられますように?)

 美恋(うーん、何か違うなぁ)



 美恋「……あ」


 ひらめく美恋。


 美恋(香云と、ずっと一緒にいられますように)


 心の中で(とな)えてみるとしっくりくる。


 美恋(……そっか。今までは香云を家族や友人のように思っていたから一緒にいたいと思っていたけど)

 美恋(今、香云と付き合っていて、それがずっと続いてほしいって願っているんだ)


 大切な存在であるのは変わりないけれど、その位置づけが変わった。


 美恋(恋人として、ずっと傍にいてほしい。か……)

 美恋(誰かと恋をするなんて、自分にはムリだと思っていたはずなのに)


 美恋はふっと笑う。


 美恋(今はもう、香云がいない自分なんて考えられないや)


 心無い言葉に傷ついていたはずの心が、今はただただ温かい。
 この温かさをくれたのは……。

 美恋は心に決めた願いを書いたのだった。

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