無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇祭り会場・夜(坂の上で夜景がよく見えるところ)
作り上げた灯篭を提灯型にして、揺らしながら歩く。開いていた片手はお互いに繋いでいる。
見慣れたはずの光景が、今は提灯の明かりで照らされて幻想的な光景になっていた。
美恋「うわぁ! 見て香云! すごくキレイ!」
香云「ああ、そうだな」
風景に見惚れて目を輝かせる美恋と、そんな美恋に見惚れる香云。
ふと美恋が香云の方を向くと目が合う。
美恋「なあに?」
香云「っ」
美恋の心からの笑みに、香云は口を開きかけて引き結ぶ。
と、繋いだ手を引っ張られて近くにあったお面屋さんに向かっていった。
香云「これ、被っとけ」
美恋「わぷ」
突然狐のお面を被せられる美恋。
美恋「え、なに? お面? なんで」
香云「いいから、しばらく被っておけ」
美恋「いやいや、ちょっと香云!」
お面を上げて香云を睨む美恋だったが、なんだか不機嫌そうな顔をした香云に首を傾げる。
美恋「ほんと、どうしたの?」
香云「……はあ」
大きなため息をつく香云に、余計に困惑する美恋。
香云「美恋さ、周りの視線に気がついてないの?」
美恋「え?」
香云「まあ美恋だもんな」
香云は勝手に納得すると、美恋の耳に口を寄せてきた。
香云「今日の美恋が可愛すぎるから、さっきから男の視線を集めすぎなんだよ」
美恋「ええ!?」
まさかと思い辺りを見回すと、確かにこちらを見ていた男性と目が合う。
美恋「私が見られているの? なんで?」
香云「はあ。あのなぁ。いつもの美恋もキレイなのに、今日は浴衣で、しかもメイクまで艶っぽくしている。視線を集めないわけないだろ」
美恋「ええ!? いや、でも私そんなに可愛くなんて」
香云「可愛いよ」
美恋「え?」
香云の言葉に驚き香云を見つめる美恋。
香云も少し赤くなった顔で真っ直ぐに美恋を見つめた。
香云「美恋は可愛いよ。ずっとな。だから自信を持て」
美恋「~~~~っ!」
一気に顔全体が赤くなる美恋。
美恋(は、破壊力がっ!)
香云のはにかむような照れたような笑みにダメージを受ける美恋。
美恋(でも、香云がここまで言ってくれるなら、そうなんだろうな)
香云の言葉なら信じられる美恋。
美恋「あ、ありがとう。その……香云も、いつも格好いいけど、今日は特に、えと、カッコいい、です」
香云「そっか。よかった」
恥ずかしがりながらそう伝えれば、不機嫌だった香云の顔が緩んで嬉しそうな顔に変わった。
香云「なら、はい」
美恋「え?」
外れていた手を差し出され疑問に思った美恋だったが、再び手を繋がれる。
香云「今日の格好いい香云はお前だけのものだからな。可愛いお前を独り占めさせてくれよ」
美恋「っ、う、うん!」
ドキドキしながら歩いていく。
(お祭りを楽しむ二人のダイジェスト)
・屋台の食べ物をシェアしながら楽しむ
・金魚すくいの勝負
・夜景を楽しむ
など
(ダイジェスト終了)