無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
香云「ん。そろそろ灯篭流しの時間だな」
美恋「あ、もうそんな時間?」
気がつくとだいぶ時間が経っており、時計は閉会のアナウンスが入る少し前を指している。
二人で川へと向かうと既にたくさんの灯篭が浮いていて、水面を優しく照らしていた。
美恋「わあっ!」
香云「きれいだな」
温かいオレンジの光に照らされた水面がキラキラと輝いて見える。
美恋と香云は提灯にしていた灯篭を取ると、そっと川に並べて浮かべた。
香云「離すぞ」
美恋「うん」
手を離れた灯篭は寄り添ってゆっくりと流れていく。
美恋はそれを眺めながら願う。
美恋(どうか、このまま香云とずっと一緒にいられますように)
ちらりと見れば、香云もまた願いを込めた目で見送っていた。
その横顔がとても愛おしく感じる。
美恋「……ねえ香云」
香云「ん?」
美恋「私ね、香云と出会えてよかった。それから、私を選んでくれてありがとう」
しっかりと向き合う美恋。
美恋「私、やっぱり香云のことが大好きみたい。だから、これからもずっと一緒にいてくれる?」
意を決して口にすれば、香云に抱きしめられる。
美恋の肩口に顔を埋める香云。
香云「そんなの、当たり前だろう。嫌だって言われても離してやらねーよ」
美恋「本当?」
香云「ああ、疑わしいか?」
少し拗ねたような声色に笑う。
そして抱きしめてくる香云の胸に顔を寄せた。
美恋「ううん。香云のことなら信じられるよ」
香云「……そうか」
少し体を離して見つめ合う。
優しい笑みに、優しい手つきで頬を撫でられた。
自然と顔が近づいて目を瞑る。
美恋(香云になら、すべてをゆだねられるから)
そして触れ合う唇。
オレンジの光に照らされた二人のシルエットが浮かび上がったのだった。