無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~
〇日芽花の家(夏休み中・昼間)
日芽花の家に集まっている美恋と暁彦。
皆は悩みごとに頭をひねっていた。
美恋(香云の誕生日が近いってこと!)
日芽花「さて、いろいろ候補はだしたわけなんだけど」
暁彦「見事にバラバラだねー」
美恋「うう……。二人とも巻き込んでごめんね」
申し訳なさそうにめそめそする美恋。
日芽花「なーに言ってるの! 美恋が頼ってくれて嬉しいよ!」
暁彦「そうそう。それにオレらも美恋ちゃんの案に乗りたいし」
日芽花「ね! サプライズパーティーなんて楽しそう!」
美恋は香云の誕生日にサプライズを仕掛けようと二人に持ち掛けたのだった。
そして皆で計画をしていたのだが……。
日芽花「にしても、皆の案がバラバラ過ぎてまとまらないね~」
暁彦「まあ香云の欲しがるものとか、楽しめるものって案外分からないしな」
机には広げられた広告や計画ノートが散らばっていた。
暁彦「まあでもとりあえずの案だと、美恋ちゃんが家に呼び出して、オレたちはスタンバってればいいのかな」
美恋「そうだね。香云の誕生日って夏休み期間だから、あんまり大勢でのお祝いをしてこなかったから」
日芽花「じゃあお兄さんや道場の人たちも呼んじゃおうよ! そんでパイ投げしよ!」
美恋「ええ? パイ投げって」
マッチョが至近距離でパイを投げるのって……。
想像して青ざめる美恋。
美恋「香云、頭飛んじゃわない?」
日芽花・暁彦「「……」」
美恋「二人して目を反らさないでよ!」
誕生日が命日になってしまう可能性がある。
美恋(そこまでならなくても、何かしらのトラウマにはなるよね)
日芽花「まあ兄さんたちには手加減するように言っておいてもらうとして」
美恋「やる気なんだ……」
日芽花はすくっと立ち上がった。
日芽花「肝心のプレゼントが決まらないとどうしようもないよね。美恋、何か候補はあるの?」
美恋「う~ん」
美恋「今までの誕生日だって好みのものはあげてきたんだけどね。今年の誕生日はもっとすごいのをあげたいんだけど……」
顔をゆがめる美恋。
実はいい案が浮かんでいなかった。
日芽花「まあ付き合って初めてのお祝い事だしね~。……もういっそのこと誕生日プレゼントは、あ・た・し! にしたら?」
美恋「は、はああ!?」
顔を真っ赤にして立ち上がる。
日芽花「あはは、冗談冗談! そんな怒んないでよ~」
美恋「日芽ちゃん!」
日芽花「ごめんって。まあここで悩んでても仕方ない! ってことでお詫びも兼ねて、今からショッピングにいって、いろいろ見てこようよ!」