無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~

最終話 これからもずっと……


 〇美恋(みこ)の部屋・朝

 目が覚めて背伸びをする美恋。
 一週間ぶりに体が軽く感じる。


 美恋「よかった、治ったみたい」


 美恋は事件から一週間、寝込んでいた。
 精神的ショックが大きかったようで、もともと弱かった身体が高熱を出してしまったのだ。


 けれど、今は立ち直っている。


 美恋(あれだけで済んだのは香云(かい)が助けに来てくれたからよね)


 事件から今日までの出来事を思いだす美恋。



 (美恋のモノローグ)


 事件があった日、香云は私からのメールを見てすぐに走って来てくれたらしい。

 商店街にいるという情報と、商店街の人からの目撃情報から居場所に目星をつけると、私のスマホが路地裏(ろじうら)の前に落ちているのを見つけられたのだそうだ。

 そしてあの場面に遭遇(そうぐう)した香云は、頭に血が上って全力で殴り飛ばしたのだという。


 私はあのあとすぐに意識を手放して、高熱を出してしまったから記憶が曖昧(あいまい)なのだけど……。
 商店街の人たちも不審な男を見て通報してくれていたらしい。

 意識を手放す前に聞こえたサイレンの音は現実だったようだ。


 幸い、私は大きなけがもなく保護された。

 本当に、香云が来てくれなかったらと思うとぞっとする。



 ……でも寝込んでしまった私を、香云はかいがいしく世話をしてくれた。

 怖くて(うな)されていても、香云の手のぬくもりがずっと傍にあった。



 それに、香云はもう二度と、私を一人にしないと約束してくれた。


 だから立ち直ることができたんだ。

 本当はまだ少し怖いけれど、香云がそう言ってくれるのなら大丈夫。
 そう思えるから――。


 (モノローグ終了)

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