無気力な幼なじみは、私にだけアツくなる~縁結び神社のみこちゃんが恋を知るまで~

 〇美恋の家

 支度(したく)をしてリビングに降りていく美恋。
 そこには既に皆(香云・日芽花(ひめか)暁彦(あきひこ)・家族・神社関係者)が揃っていた。


 降りてきた美恋を見て日芽花が飛びついてくる。


 日芽花「美恋~~!!」
 美恋「わっぷ、日芽ちゃん」


 心配そうに見つめられる。


 日芽花「もう大丈夫なの?」
 美恋「うん。熱は下がったし、体はなんともないから大丈夫だよ」

 日芽花「そっか……」



 日芽花は美恋に抱き着いたまま涙目になっていく。


 日芽花「うわーん! あのとき一人で行かせてごめんね」
 美恋「なんで日芽ちゃんが謝るのよ」

 日芽花「だって、だってぇ!」


 日芽花はあの日美恋を一人で行かせなければと後悔していた。


 美恋「日芽ちゃんのせいなんかじゃないよ」


 美恋は断言する。


 (美恋のモノローグ)

 そう。あれはあの男のせいであって、こちら側の誰も悪くない


 あの男は以前にも捕まったけれど、私の手を掴んだだけだったし、不審者とはいえ実害はまだ出ていなかったために釈放になっていたと聞いた。

 もちろん私には近づかない&子どもにも近づかないように注意されていたはずなのだけど、私への逆恨みが強かったらしく……。
 結果ああいう風に出たのだ。


 けれど前回と違ったのは、今回は実害が十分すぎるほどあったということ。


 現行犯で逮捕されたし、刃物も持っていたし、目撃者も多かった。

 言い逃れはできず、今はもう牢屋に入っているらしい。


 (モノローグ終了)


 美恋「だから謝らないで」

 日芽花「美恋……」


 美恋はニカっと笑う。


 美恋「あんな人に楽しみなことを奪われたくないし、もう話すのはやめよう? 私は大丈夫だから」
 日芽花「……そう、だね」


 日芽花は美恋の手を取り、涙を振り払うように笑った。


 日芽花「じゃあ、今日は目一杯楽しもう!」


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