ねぇ、佐々木くん
────ゆっくりと、目を閉じる。
死ぬときってどんな風なんだろうって思ってたけど、意識が薄れていくと痛みもあんまり感じないや。
今日は平日だからお母さんもお父さんも仕事だし、1人で死ぬのか……。
いや、1人の方が辛くなくていいかも。
お母さんとお父さんの顔見たら、死にたくないって思いそうだし。
私の心拍が下がったからなのか、一定のリズムを刻んでいた機械音が急に大きな音を立ててアラームを鳴らす。
けれど、そのまま目を閉じたまま、開けることができない。
バタバタと誰かが走ってきて扉を開ける音がした。
「木下さんっ!!ちょっ…誰かっ!先生呼んでっ!」
看護師さんの声が遠くなっていく。
どんどん、遠くなっていく。
「木下さん!諦めないで!大丈夫だから!」
看護師さんの声がするような、気がするのに。
だめだ。
起きれない。