偽りの聖女と罵るならお望み通りにこの国を出て行きます。あとはどうぞお好きにお過ごしください
 翌日、私は国外追放を言い渡された。
 リオン殿下の命令だった。最低限の荷物だけを持ち、国を去る馬車に強引に乗せられた。護衛すらつかない冷遇には、さしもの苦笑を漏らすしかなかった。

 追放の旅路の間、私は考え続けた。

(リシア……あの嘘つき、昔から気に入らない事には同情で従わせる。リオン殿下にもあまり近づかないように忠告はしておいたはずなのに……。なぜそこまで簡単に私を見限った)

 しかし、答えが出ることはなかった。

「結局、私は私の役目を果たすだけ」

 そう自分に言い聞かせることで、なんとか前を向こうとした。
 現実は変わらない以上、そこに囚われる訳にもいかない。聖女といっても、王族の命令を撥ね退ける程の力は無いのだから。


 馬車が着いたのは隣国の小さな村だった。
 その国では、魔物の被害が頻発しているという噂を耳にしていたが……、それは予想以上に深刻だった。
 いつ襲い来るともわからない魔物に村の人々は怯え切り、荒れ果てた土地がどこまでも広がる。

「ここで出来ることがあるはず」

 私はすぐに行動を開始した。
 聖女としての祈りを真摯に捧げ、魔物の被害を受けた土地を浄化。
 何においても人々を助けることに専念し続けた。

 その甲斐あってか、この地に近づく魔物は居なくなり、そして作物がすくすくと育つ程の土壌が復活してくれた。
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