偽りの聖女と罵るならお望み通りにこの国を出て行きます。あとはどうぞお好きにお過ごしください
「お前は偽りの聖女だったのか!」

 国王の怒声が響き渡る中、リシアは震えながら事実を認めるしかなかった。
 さらに、リオン殿下の行動もまた問題視された。

「第二王子として、無実の者を追放し、国を危機に陥れるとは……。もはや王位継承権を持つ資格もない」

「な!? お待ちを父上!!」

「黙れ! 誰かこの阿呆共を外へ連れ出せ」

「は、離せ!!? 私は王子だぞ!!」

「いや、離して!!? 離して下さい! これは何かの間違いです! 私の身に何かあればお姉様が黙ってはおりません!」

 国王の言葉により、リオン殿下は王位継承権を剥奪された。
 リシアも共に処罰され、魔物の蔓延る辺境の砦へ追放されることが決まった。



 そんな噂を耳にしても、今更思うところもなし。
 私は隣国での活動を続ける中で、今日、アルノルト殿下から不意にその想いを告げられていた。

「エリナさん、貴女と共にこの国を守りたい。私の妃となっていただけますか?」

「私などでよければ……っ」

 その言葉に、私は静かに涙を滲ませ微笑み、そして頷いた。


 こうして私は新たな国で、新たな人生を歩むこととなった。
 過去の傷は完全には癒えないかもしれない。

 それでも、今の私は確かに幸せだと心から言える。
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