秋の発表会
演目
「秋の発表会どうする?」と日奈子に問われ園児たちは驚いた。当然美桜が担当すると決めつけていたからだ。いやそれ以前にイベント好きなキャピ子以外発表会の存在自体忘れられていた。
「発表会ってなにー」
「あれー。あんたたち初めてじゃないでしょ」しらないよ
「発表会はねクラスごとに講堂でお歌や劇を発表するの。おうちの人を招待してね。あなた達の晴れ舞台なのよ」
ここにきて、まずいな、と園児は全員気が付いた。美桜と衝突する。園児たちはひそひそした。どうする? ややこしいね。美桜は劇だよ。じゃ日奈子も劇にすれば。なんの劇? そうかあ、ややこしいね。
「考えとくよー」
「そう。 なるべく早くね」
あちこちでひそひそ会議が開かれている。大嵐をもたらした本人は普段通り鼻歌で皆を観察している。
どうする? なにさっきから。分からないよ。でも。でもってなに、でもって。わっ! あやみが怒った。やめなよ。でも。またでも、でもってなに? でも。
でもの本人祥子ちゃんは悩んだ。悩みはでもの回数に現れている。行き着いた先は、でもやるんでしょ、だった。なにあんた、だから相談してるんでしょ。杏奈が呆れた。
日奈子先生はうろついているのに、園児が遊びではなく、頭を突き合わせていることに変だなとは思わなかった。
「発表会考えたー」日奈子先生が催促した。返事がない。
「留美ちゃん。黒猫ミーコの冒険はどう?」
指名された留美ちゃんは、
「じゃ黒猫ミーコとキリギリスの冒険」と答えた。
「以前話したときはカマキリじゃなかった」
「じゃ黒猫ミーコとキリギリスとカマキリの冒険」
「大丈夫キリギリスが食べられちゃわない」
「大丈夫だよ、キリギリスはおっきくてカマキリは小さいから」
「そうなの。なんかイメージが違うなあ。やっぱり黒猫ミーコとカタツムリの冒険の方がよくない?」
「ダサい」
「ダサいかなあ」
「日が暮れちゃうよ」
「なるほどねえ、考えてるんだ」
「じゃ黒猫ミーコとキリギリスとカマキリの冒険で良い?」
ダメ―。全員から反対され、なにー、と驚いた。
あれ美桜だよね。うん。聞いてみる? うん。
「美桜先生、秋の発表会はー」
「秋の発表会? 大丈夫よ、ばっちり考えてあるから」
やっぱりね。どうしよう。
「踊りと歌がいいよ」
「踊りと歌? やはり劇じゃないとね」
歌と踊りならごまかせると思った作戦は失敗した。
お歌がいい、京子ちゃんが食い下がる。お歌が良い、お歌が良い。みな追従した。
「お歌が良いの。じゃ考えておくね」
「発表会ってなにー」
「あれー。あんたたち初めてじゃないでしょ」しらないよ
「発表会はねクラスごとに講堂でお歌や劇を発表するの。おうちの人を招待してね。あなた達の晴れ舞台なのよ」
ここにきて、まずいな、と園児は全員気が付いた。美桜と衝突する。園児たちはひそひそした。どうする? ややこしいね。美桜は劇だよ。じゃ日奈子も劇にすれば。なんの劇? そうかあ、ややこしいね。
「考えとくよー」
「そう。 なるべく早くね」
あちこちでひそひそ会議が開かれている。大嵐をもたらした本人は普段通り鼻歌で皆を観察している。
どうする? なにさっきから。分からないよ。でも。でもってなに、でもって。わっ! あやみが怒った。やめなよ。でも。またでも、でもってなに? でも。
でもの本人祥子ちゃんは悩んだ。悩みはでもの回数に現れている。行き着いた先は、でもやるんでしょ、だった。なにあんた、だから相談してるんでしょ。杏奈が呆れた。
日奈子先生はうろついているのに、園児が遊びではなく、頭を突き合わせていることに変だなとは思わなかった。
「発表会考えたー」日奈子先生が催促した。返事がない。
「留美ちゃん。黒猫ミーコの冒険はどう?」
指名された留美ちゃんは、
「じゃ黒猫ミーコとキリギリスの冒険」と答えた。
「以前話したときはカマキリじゃなかった」
「じゃ黒猫ミーコとキリギリスとカマキリの冒険」
「大丈夫キリギリスが食べられちゃわない」
「大丈夫だよ、キリギリスはおっきくてカマキリは小さいから」
「そうなの。なんかイメージが違うなあ。やっぱり黒猫ミーコとカタツムリの冒険の方がよくない?」
「ダサい」
「ダサいかなあ」
「日が暮れちゃうよ」
「なるほどねえ、考えてるんだ」
「じゃ黒猫ミーコとキリギリスとカマキリの冒険で良い?」
ダメ―。全員から反対され、なにー、と驚いた。
あれ美桜だよね。うん。聞いてみる? うん。
「美桜先生、秋の発表会はー」
「秋の発表会? 大丈夫よ、ばっちり考えてあるから」
やっぱりね。どうしよう。
「踊りと歌がいいよ」
「踊りと歌? やはり劇じゃないとね」
歌と踊りならごまかせると思った作戦は失敗した。
お歌がいい、京子ちゃんが食い下がる。お歌が良い、お歌が良い。みな追従した。
「お歌が良いの。じゃ考えておくね」
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