この恋、延長可能ですか?
そのレンタルサービスは気になる彼氏を自ら指名できるシステムらしい。おこがましさに似た不安を抱きつつ、ちゃっかり吟味した。

この中の誰かがわたしの先生になって下さるのだ。全員背後から後光がさしこんでいるかのごとく、輝いて見える。

「私のおすすめは、この彼かなあ!」

朱希のおすすめは可愛い顔立ちをした19歳の大学生だ。弟と同級生である。

「うーん……パスだね」

「ちなみに、どのランクまで出せる?」

「らんく……?」

目を凝らしてみるとそのサイトはランク制になっていて、上のランクになると顔の造形もよく、指名料だって高い、そんな制度になっているらしい。

写真も完全に顔を出している人、それから微妙に隠している人、さらには完全に雰囲気だけの人が居て。

「どのランクでもいける!」

「日和、最高」

全体的にイケメン率が高いけれど……ここは長年、独り身の財力を駆使して、ランクの高い人から選ばさせてもらう。

「この人にするね!」

横顔の写真に惹かれた、口元しか見えないけれどすごく雰囲気がある彼は“Mitsu”という名前らしい。一番いいランクなので指名料がめちゃくちゃ高いし、きっと、かなりの腕前だ。

「良いじゃん!じゃあMitsuくんを選ぶね」

期待値がぐんぐんと登りつめるのを深呼吸に変えて、朱希の指が予約をタップするのを見守った。

【予約完了!彼氏からの連絡をお待ちください】

もうこの時間から、彼氏となってくれるらしい。呆気なく届いた文字に三人で脱力した。
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