この恋、延長可能ですか?


「私に……できるかな……」

職場でも例えば男性社員に何か訊ねられるとみっともなく顔を赤くさせ「あ……」か「その……」しか言えずに吃る私を見て呆れられることがほとんどだ。

どうにかしたいと思っても、どうにもならず、見兼ねた同僚たちが男性から遠ざけてくれている、という立場である。

情けなくて、みっともない。そのうえ、気を使わせてばかり。

こんなの嫌だと何度も嘆くくせに、行動はしない。

我儘なのはどう考えてもわたしだ。

「考えてみなよ。もしもこの先日和の恋がステップアップして課長といい感じになっても、デート未経験で上がり症で、ガッカリされるより予行練習として利用するのもいいんじゃない?」

……なるほど。テスト前には予習や復習をする。あれこれ学習しても、経験するほうがずっと良いし実になる。是非ともわたしの先生になっていただきたい。

「ね。慣れてるだろうし、絶対リードしてくれる!1回でいいから姫扱いされたいもんだよねえ」

姫扱い……!

二人の言葉に段々絆されて、良い気になっていくのが自分でも分かる。

いい兆しが見えると、視界が一斉に開かれていく心地がした。

「じゃあ、1回だけなら……」

「そう来なくちゃ!どの彼氏にしてみる?」

そう言ってスマホを差し出された。現れた見目麗しい男性たちの写真が眩しくて、灰になりそうだった。

ていうか、みんな私よりも若い。大学生ばかりで、25歳以上なんて全然いない……!
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