三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
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とある日、ヴィオラは目の前にある色とりどりの美しいドレスの数々に目が回りそうになっていた。
「再来週末、上流貴族が集まるパーティーがある。俺は三男ではあるが侯爵家、しかも数年前に大魔獣を倒したことで社交の場に頻繁に呼ばれるんだ。今までは忙しいことを理由にのらりくらりとかわしてきたが、婚約したことで婚約者を連れてこいと主催者がうるさくてな。さすがにこの状況で断るわけにもいかない」
そう言って申し訳なさそうに言うキールは、せっかくだからとドレス屋を屋敷に呼びヴィオラに試着させていた。
今までこんなにも沢山の、しかも美しいドレスを見たことも袖を通したこともなかったヴィオラはまるで着せ替え人形のようになってただただドレスを次々に着せられていく。
「こんなにも小さくて可愛らしい奥様なら何を着せてもお似合いですわね!」
(お、奥様って……まだ婚約者なのだけれど)
戸惑うヴィオラをよそに、ドレス屋の店員は嬉しそうにせっせとドレスをあてがう。
「どれか気に入ったものはあるか?」
キールに聞かれるがヴィオラは正直行ってそれどころではない。
「い、いえ、あの、こんなに沢山のドレスを着るのは初めてで、なんと言いますか、よくわからないです……」
(何かを口にしたい、けどドレスを汚してしまってはいけないし、そもそもこんな時に食べ物を食べたいだなんて言えない……!)
くらくらしながらヴィオラはなんとか両足で立っているのが精一杯だ。
「今までだって社交の場には出たことがあるんだろ?ご実家でもドレスの新調くらいしただろうに」
不思議そうに言うキールに、ヴィオラは少し気まずそうにしながら口を開く。
「……その、食費がかかってしまうせいでドレスの新調はほとんどしてもらえませんでした。社交の場に出てもいつも食べ物を食べてばかりなので、一緒に行ったお相手が……恥ずかしいからと……次第に連れて行かれることもなくなりました」
どんどん小声になっていくヴィオラを、キールは目を細めて見つめた。
「再来週末、上流貴族が集まるパーティーがある。俺は三男ではあるが侯爵家、しかも数年前に大魔獣を倒したことで社交の場に頻繁に呼ばれるんだ。今までは忙しいことを理由にのらりくらりとかわしてきたが、婚約したことで婚約者を連れてこいと主催者がうるさくてな。さすがにこの状況で断るわけにもいかない」
そう言って申し訳なさそうに言うキールは、せっかくだからとドレス屋を屋敷に呼びヴィオラに試着させていた。
今までこんなにも沢山の、しかも美しいドレスを見たことも袖を通したこともなかったヴィオラはまるで着せ替え人形のようになってただただドレスを次々に着せられていく。
「こんなにも小さくて可愛らしい奥様なら何を着せてもお似合いですわね!」
(お、奥様って……まだ婚約者なのだけれど)
戸惑うヴィオラをよそに、ドレス屋の店員は嬉しそうにせっせとドレスをあてがう。
「どれか気に入ったものはあるか?」
キールに聞かれるがヴィオラは正直行ってそれどころではない。
「い、いえ、あの、こんなに沢山のドレスを着るのは初めてで、なんと言いますか、よくわからないです……」
(何かを口にしたい、けどドレスを汚してしまってはいけないし、そもそもこんな時に食べ物を食べたいだなんて言えない……!)
くらくらしながらヴィオラはなんとか両足で立っているのが精一杯だ。
「今までだって社交の場には出たことがあるんだろ?ご実家でもドレスの新調くらいしただろうに」
不思議そうに言うキールに、ヴィオラは少し気まずそうにしながら口を開く。
「……その、食費がかかってしまうせいでドレスの新調はほとんどしてもらえませんでした。社交の場に出てもいつも食べ物を食べてばかりなので、一緒に行ったお相手が……恥ずかしいからと……次第に連れて行かれることもなくなりました」
どんどん小声になっていくヴィオラを、キールは目を細めて見つめた。