三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
「これで何度目だ」
父であるデュグラは冷ややかな目でヴィオラを見つめた。
「たぶん……三回目?です」
「まったく、どうしてこんな出来損ないなのかしら」
父の後妻でありヴィオラの義母であるティクシーに嫌みったらしく言われるが、ヴィオラはそんな時でも食べ物を頬張っている。
ヴィオラが婚約破棄されるのはこれで三回目だ。破棄される理由は全て「ヴィオラが大食いすぎるから」だった。
「いつもいつもこんなに食べてばかりで食費のかかる娘だこと!さっさとどこかにいってしまえばいいのに、引取り手もないだなんて」
ティクシーは心の底から嫌だというような顔でヴィオラを見る。
ヴィオラの実母はデュグラに愛されておらず、デュグラは結婚している時からすでにティクシーと親密な仲だった。
ヴィオラの実母はヴィオラを生んで病ですぐに亡くなり、ティクシーはすぐにデュグラと結婚する。ヴィオラは引き取られはしたが、ティクシーにもすぐに子供ができたためヴィオラは家の中に居場所がない。
「今回もダメになってしまったが、次は絶対に大丈夫だろう。黒豹騎士と呼ばれる男を知っているだろう?ヴィオラの婚約が破棄になった途端に縁談を持ちかけてきた」
「黒豹騎士って、まさかあのハディウス侯爵のこと!?」
驚くティクシーにデュグラはヴィオラを見ながらふん、と鼻で笑った。
「ヴィオラが侯爵家、しかもあの英雄と言われる男の元へ嫁ぐなど不相応だが、我が家としては願ったり叶ったりだからな。しかし、黒豹騎士もなぜこんなヴィオラと縁を結びたがるのか」
キール・ハディウス。侯爵家の三男で数年前に国内で暴れて騒がれていた大魔獣を倒した英雄だ。
大魔獣は誰にも手がつけられず被害が拡大していたが、キールの膨大な魔力と騎士としての実力によって大魔獣を打ち倒した。その功績を讃えられ褒美として獲得した領地で今は暮らしているらしい。
「高身長に長い手足、見た目も申し分ないのに全く笑わない、しかもいつも黒づくめの服装で足がとても早くてまるで黒豹のようなのでしょう。ついたあだ名が黒豹騎士。あらやだ、小リスが黒豹に睨まれたのね」
ティクシーはバカにしたようにクスクスと笑う。ティクシーの言う通り、ヴィオラは小柄で長い薄茶色の髪の毛はふわふわとしており、瞳は丸くまるで小リスのようだ。
(黒豹騎士様……噂には聞いたことがあるけれどどんな方なのかしら。それに私なんかと婚約したいだなんて一体なぜなのかしら……。大魔獣を倒すくらいお強い方だなんて、怖くないといいのだけれど)
まだ見ぬ黒豹騎士の姿を思い浮かべヴィオラは思わず身震いをした。
父であるデュグラは冷ややかな目でヴィオラを見つめた。
「たぶん……三回目?です」
「まったく、どうしてこんな出来損ないなのかしら」
父の後妻でありヴィオラの義母であるティクシーに嫌みったらしく言われるが、ヴィオラはそんな時でも食べ物を頬張っている。
ヴィオラが婚約破棄されるのはこれで三回目だ。破棄される理由は全て「ヴィオラが大食いすぎるから」だった。
「いつもいつもこんなに食べてばかりで食費のかかる娘だこと!さっさとどこかにいってしまえばいいのに、引取り手もないだなんて」
ティクシーは心の底から嫌だというような顔でヴィオラを見る。
ヴィオラの実母はデュグラに愛されておらず、デュグラは結婚している時からすでにティクシーと親密な仲だった。
ヴィオラの実母はヴィオラを生んで病ですぐに亡くなり、ティクシーはすぐにデュグラと結婚する。ヴィオラは引き取られはしたが、ティクシーにもすぐに子供ができたためヴィオラは家の中に居場所がない。
「今回もダメになってしまったが、次は絶対に大丈夫だろう。黒豹騎士と呼ばれる男を知っているだろう?ヴィオラの婚約が破棄になった途端に縁談を持ちかけてきた」
「黒豹騎士って、まさかあのハディウス侯爵のこと!?」
驚くティクシーにデュグラはヴィオラを見ながらふん、と鼻で笑った。
「ヴィオラが侯爵家、しかもあの英雄と言われる男の元へ嫁ぐなど不相応だが、我が家としては願ったり叶ったりだからな。しかし、黒豹騎士もなぜこんなヴィオラと縁を結びたがるのか」
キール・ハディウス。侯爵家の三男で数年前に国内で暴れて騒がれていた大魔獣を倒した英雄だ。
大魔獣は誰にも手がつけられず被害が拡大していたが、キールの膨大な魔力と騎士としての実力によって大魔獣を打ち倒した。その功績を讃えられ褒美として獲得した領地で今は暮らしているらしい。
「高身長に長い手足、見た目も申し分ないのに全く笑わない、しかもいつも黒づくめの服装で足がとても早くてまるで黒豹のようなのでしょう。ついたあだ名が黒豹騎士。あらやだ、小リスが黒豹に睨まれたのね」
ティクシーはバカにしたようにクスクスと笑う。ティクシーの言う通り、ヴィオラは小柄で長い薄茶色の髪の毛はふわふわとしており、瞳は丸くまるで小リスのようだ。
(黒豹騎士様……噂には聞いたことがあるけれどどんな方なのかしら。それに私なんかと婚約したいだなんて一体なぜなのかしら……。大魔獣を倒すくらいお強い方だなんて、怖くないといいのだけれど)
まだ見ぬ黒豹騎士の姿を思い浮かべヴィオラは思わず身震いをした。