三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
9
ヴィオラの元婚約者であるディーニーの元を立ち去り、キールがヴィオラを連れてきた場所はパーティー会場になっている屋敷内の一室だった。
「ヴィオラが周りを気にせず食べ物を食べられるようにと事前に一部屋借りていたんだ。こんな形で役にたつとはな」
ふぅ、と息を吐きながら部屋の中にあるソファーへヴィオラを座らせ、キールはヴィオラの横に腰かけた。
「あ、部屋を借りたといってもあれだ、別に他意はないから心配しないでくれ」
キールは慌てたようにそう言うが、ヴィオラはなんのことかさっぱりわからず首をかしげる。
(これは……何を言われているかわかっていなさそうだな。それならそれでいっこうに構わないが)
この国では男女が二人きりで話をするためやそれ以上進んだ仲の深め方をするために社交パーティー中に部屋を借りることがあるのだが、ヴィオラにはそういう知識は全くない。
それはキールにとって安心でもあり逆に心配でもあった。男女の駆け引きや色恋の知識がないゆえに他の男に簡単に騙されてしまうのでないかと思ってしまう。そんなことが起こらないように目を光らせていればいいだけの話ではあるが。
「いや、なんでもない。とにかく、ここならヴィオラもゆっくり食べ物を堪能できるだろ」
そう言ってキールは優しく微笑んだ。
(わざわざ私のために部屋までとっていてくださったなんて……見た目は怖いけどやっぱりとても優しい方なんだわ)
「先ほども助けていただきましたし……何から何まで本当にありがとうございます」
「あ、あぁ、いいんだ。ヴィオラが無事でよかった」
心の底からわき出る感謝の気持ちをこめてヴィオラは嬉しそうに頬笑むと、キールはすぐに目をそらして返事をする。
「よし、あんな奴のことはさっさと忘れて美味しい料理を食べよう」
キールが持ってきた料理を食べるように促すと、ヴィオラは目を輝かせて食べ物に手をつけ始める。
(やっと、やっと食べられる!)
パクパクと面白いくらい料理を口へ運んでいき頬を少し膨らませながらヴィオラは嬉しそうにモグモグと食べている。
「どうだ?」
「とってもとっても美味しいです!」
ごくんと食べ物を飲み込んでからヴィオラは満面の笑みでそう答える。その笑顔にキールは嬉しくなりヴィオラの頭を優しくなでた。
「その肉、うまそうだな。俺にも一切れくれないか」
「あ、もちろんです!」
キールに言われてヴィオラは皿ごとキールへ差し出すがキールは受け取ろうとしない。なぜか口を開けて待っている。
「ヴィオラが周りを気にせず食べ物を食べられるようにと事前に一部屋借りていたんだ。こんな形で役にたつとはな」
ふぅ、と息を吐きながら部屋の中にあるソファーへヴィオラを座らせ、キールはヴィオラの横に腰かけた。
「あ、部屋を借りたといってもあれだ、別に他意はないから心配しないでくれ」
キールは慌てたようにそう言うが、ヴィオラはなんのことかさっぱりわからず首をかしげる。
(これは……何を言われているかわかっていなさそうだな。それならそれでいっこうに構わないが)
この国では男女が二人きりで話をするためやそれ以上進んだ仲の深め方をするために社交パーティー中に部屋を借りることがあるのだが、ヴィオラにはそういう知識は全くない。
それはキールにとって安心でもあり逆に心配でもあった。男女の駆け引きや色恋の知識がないゆえに他の男に簡単に騙されてしまうのでないかと思ってしまう。そんなことが起こらないように目を光らせていればいいだけの話ではあるが。
「いや、なんでもない。とにかく、ここならヴィオラもゆっくり食べ物を堪能できるだろ」
そう言ってキールは優しく微笑んだ。
(わざわざ私のために部屋までとっていてくださったなんて……見た目は怖いけどやっぱりとても優しい方なんだわ)
「先ほども助けていただきましたし……何から何まで本当にありがとうございます」
「あ、あぁ、いいんだ。ヴィオラが無事でよかった」
心の底からわき出る感謝の気持ちをこめてヴィオラは嬉しそうに頬笑むと、キールはすぐに目をそらして返事をする。
「よし、あんな奴のことはさっさと忘れて美味しい料理を食べよう」
キールが持ってきた料理を食べるように促すと、ヴィオラは目を輝かせて食べ物に手をつけ始める。
(やっと、やっと食べられる!)
パクパクと面白いくらい料理を口へ運んでいき頬を少し膨らませながらヴィオラは嬉しそうにモグモグと食べている。
「どうだ?」
「とってもとっても美味しいです!」
ごくんと食べ物を飲み込んでからヴィオラは満面の笑みでそう答える。その笑顔にキールは嬉しくなりヴィオラの頭を優しくなでた。
「その肉、うまそうだな。俺にも一切れくれないか」
「あ、もちろんです!」
キールに言われてヴィオラは皿ごとキールへ差し出すがキールは受け取ろうとしない。なぜか口を開けて待っている。