三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
「それにしてもヴィオラ嬢はどれほど魔力を吸収しても完全に溜まることはないようですね。吸収するスピードと枯渇するスピードがほぼ同じのようだ。これであればキール君の魔力がどれだけ発生し続けようとも魔力放出の発作は起こらないでしょう。それにしても今までよく倒れませんでしたね」
その言葉にキールが無意識に眉を顰めヴィオラを見つめた。その視線にヴィオラは思わず怯え、それに気づいたキールは慌ててすぐに目をそらす。
「絶えず何かを食べるようにしていたので……」
「今も食べ物を?」
「そういえば、最近は前ほど常に食べていなければいけないということは無くなったかもしれません」
キールの屋敷に来た当初は常に菓子パンなどを詰め込んだバスケットを手元に置いていたが、最近は常に持ち歩くことはなく、一日のうちに何度か定期的に摂取する程度で落ち着いている。
「キール君の魔力を吸収していることで体にも変化があったのでしょう。ですが今までより食べる量が減るだけで他の人たちと同じような食事形態で大丈夫とまではいかないようですね。できればヴィオラ嬢の状態ももっと改善できればよかったのですが」
申し訳なさそうに言うクレストの話を聞きながらヴィオラはそういうものなのか、と思っていた。そもそも他の人たちと同じようになれるとは思っていなかったし、何よりこんなに食べ物を摂取する量が減ったこと自体が奇跡のようなものだ。それに美味しいものを食べることは小さい頃から好きなことなので食べること自体は苦にならない。
「以前までは常に何かを食べていなければいけなかったので、今こうして摂取量が減ったことが驚きです。それだけでもじゅうぶんありがたいことなのでカイザー様にもキール様にも感謝しかありません」
フワッと嬉しそうに微笑んで礼を言うヴィオラに、クレストは両目を見開いてほう、と呟き、キールもまたヴィオラを熱い眼差しで見つめていた。
「それならよかった。キール君にあなたを紹介してよかったです」
「俺も、ヴィオラ嬢と出会えてよかったです。ありがとうございます、先生」
キールの言葉にヴィオラがほんのり顔を赤らめると、クレストはそれを見て優しく微笑みそれから真剣な顔でキールに話しかけた。
「今後も定期的にお二人の魔力を測りたいと思うので協力をお願いします。それから、二人にはどうしても伝えておかなければいけないことがあるのです」
いつになく真剣なクレストの様子にキールは嫌な胸騒ぎを感じてしまう。ヴィオラもただならぬ空気にスカートの裾をぎゅっと掴むと、クレストが静かに口を開いた。
「どうやらキール君をよく思わない人間が不穏な動きをしているようなのです」
その言葉にキールが無意識に眉を顰めヴィオラを見つめた。その視線にヴィオラは思わず怯え、それに気づいたキールは慌ててすぐに目をそらす。
「絶えず何かを食べるようにしていたので……」
「今も食べ物を?」
「そういえば、最近は前ほど常に食べていなければいけないということは無くなったかもしれません」
キールの屋敷に来た当初は常に菓子パンなどを詰め込んだバスケットを手元に置いていたが、最近は常に持ち歩くことはなく、一日のうちに何度か定期的に摂取する程度で落ち着いている。
「キール君の魔力を吸収していることで体にも変化があったのでしょう。ですが今までより食べる量が減るだけで他の人たちと同じような食事形態で大丈夫とまではいかないようですね。できればヴィオラ嬢の状態ももっと改善できればよかったのですが」
申し訳なさそうに言うクレストの話を聞きながらヴィオラはそういうものなのか、と思っていた。そもそも他の人たちと同じようになれるとは思っていなかったし、何よりこんなに食べ物を摂取する量が減ったこと自体が奇跡のようなものだ。それに美味しいものを食べることは小さい頃から好きなことなので食べること自体は苦にならない。
「以前までは常に何かを食べていなければいけなかったので、今こうして摂取量が減ったことが驚きです。それだけでもじゅうぶんありがたいことなのでカイザー様にもキール様にも感謝しかありません」
フワッと嬉しそうに微笑んで礼を言うヴィオラに、クレストは両目を見開いてほう、と呟き、キールもまたヴィオラを熱い眼差しで見つめていた。
「それならよかった。キール君にあなたを紹介してよかったです」
「俺も、ヴィオラ嬢と出会えてよかったです。ありがとうございます、先生」
キールの言葉にヴィオラがほんのり顔を赤らめると、クレストはそれを見て優しく微笑みそれから真剣な顔でキールに話しかけた。
「今後も定期的にお二人の魔力を測りたいと思うので協力をお願いします。それから、二人にはどうしても伝えておかなければいけないことがあるのです」
いつになく真剣なクレストの様子にキールは嫌な胸騒ぎを感じてしまう。ヴィオラもただならぬ空気にスカートの裾をぎゅっと掴むと、クレストが静かに口を開いた。
「どうやらキール君をよく思わない人間が不穏な動きをしているようなのです」