三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
 事件が解決してから、キールはヴィオラと共にクレストの元へお礼に来ていた。

「先生には感謝してもしきれません。先生のおかげでヴィオラを守ることができました」
「いえ、私は当然のことをしたまでです。それにしても、今まで一度も他人に興味を示さなかったキール君がこんなにも一人の女性に対して意識を向け守ろうとするとは意外ですね。ヴィオラ嬢には何か不思議な力でもあるのでしょうか」

 ヴィオラに顔を近づけ顎に手を添えながらふむふむと考えるクレスト。クレストは相変わらず美しい顔立ちをしており、ヴィオラはやはりクレストをじっと見つめて感心していた。

(カイザー様はいつ見ても本当にお美しいわ……!これで二百歳を超えているだなんて信じられない。ううん、むしろ二百歳を超えているからこそのあり得ない美しさなのかしら)

 ヴィオラはクレストを見つめながらほうっとため息をつく。それを見てキールは少しムッとしながら後ろからヴィオラに抱きつき、クレストから引き離した。

(えっ、キール様?えっ?)

 突然後ろから抱きしめられてヴィオラは混乱し顔が真っ赤になる。キールとヴィオラを見てクレストはクスクスと楽しそうに笑い出した。

「お二人は本当にお似合いですね。キール君の普段見られない姿を見れるのもヴィオラ嬢のおかげです。今後もたまにお二人で遊びに来てください」
「先生はいつもお忙しいでしょう。それに定期的に魔力測定に来ますのでそれで良いじゃないですか」

 キールの言い分にそれもそうだと言いながらクレストはまた楽しそうに笑った。

 こうして、キールとヴィオラに近寄っていた危険は一掃され、二人にはまた平和な日々が訪れた。

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