三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
「ヴィオラ、俺に触れられるのがそんなに怖いか?」
顔が真っ赤になっているヴィオラを見つめながら、少し寂しげにキールが尋ねる。その顔は黒豹騎士と言われるような鋭い目つきではなく不安げだ。
「そ、そんなことはありません。ただ、慣れていないせいか緊張してしまって……キール様が嫌というわけでは決してありません!」
ふんすと鼻息を荒くしてヴィオラが言うと、キールは思わずプッと吹き出し、声を上げて笑い出した。
「あー、すまない。ヴィオラは本当に見ていて飽きないな。不安になっていた自分が馬鹿らしくなったよ。……ヴィオラ、屋敷に戻ってから言おうと思っていたんだが、気が変わった」
キールは真剣な眼差しをヴィオラへ向けると、先ほど宝石店で買った指輪を箱ごと取り出し、ヴィオラへ見せる。
「二人の瞳の色の宝石を付けた指輪の意味は知っているよな。初めは本当に契約結婚のつもりだった。君がただそばにいて魔力放出の発作を止めてくれればいい、君は君で魔力が枯渇しなくて済む、お互いに好条件だからと思っていたんだ。だが今は違う」
キールはヴィオラをじっと見つめながら言葉を続ける。
「君と一緒に過ごすうちに、君自身に惹かれていった。大食いなところも、大食いだと周りから言われてもなお自分より俺を思ってくれることも、食べ物を幸せそうに食べる姿も、たまに照れて真っ赤になる顔も、控えめに見えてでもちゃんと自分の意思を持っているところも、知れば知るほど君に惹かれている。そして契約結婚ではなく、本当の意味で夫婦になりたい、一緒に生きていきたいとそう思うようになったんだ」
キールの言葉にヴィオラは両目を見開きどんどん頬を赤く染めていく。
「ヴィオラのことが好きだ、愛している。どうか俺と結婚してください。契約結婚ではない、本当の結婚相手として俺を選んでほしい」
長めの前髪から見えるキールの瞳は真剣で、でもいつものように恐ろしいわけではない。その真剣な瞳はキラキラと輝き、吸い込まれそうなほど美しい。そしてそんなキールの瞳を見つめながら、ヴィオラは考えるより先に口を開いていた。
「……私も、キール様のことが好きです。キール様のそばにずっと一緒にいたいです、それに本当の夫婦になれたら嬉しいです」
そう言ってからすぐに自分が言った内容にハッとする。驚いた顔になるヴィオラを見てキールはまた声を上げて笑った。
「ヴィオラは本当に面白いな。でもそれが本心なら嬉しい」
そう言って箱から指輪を取り出し、ヴィオラの左手をとって薬指に指輪をはめる。指輪はピッタリと薬指に収まった。
「すごい、どうしてこんなにピッタリなんでしょう……」
「ヴィオラの指のサイズを測ることなんていつでもできる」
ククク、と嬉しそうに笑いながらキールはヴィオラの頬に手を添えた。ヴィオラは一瞬驚いて身を縮めるが、すぐに元に戻った。
「キスしてもいいか?」
真剣な眼差しのキールに、ヴィオラは胸がドキドキして仕方がない。めまいがしそうになるのを堪えながら、ヴィオラはゆっくりと頷いた。
そんなヴィオラを見てキールは嬉しそうに目を細め、静かにヴィオラに顔を近づける。ヴィオラが思わず目を瞑ると、キールの唇がヴィオラの唇にそっと触れ、すぐに離れた。
「やっぱり匂いも味も甘いな」
嬉しそうに笑いながらそう言うキールと一緒に、ヴィオラも嬉しそうに笑った。
「よし、今日の夕食は豪勢にするように料理長に伝えないとな。ヴィオラの好物をたくさん用意しよう」
キールの言葉にヴィオラは豪勢な夕食を想像して両目を輝かせながら嬉しそうに微笑んだ。
いつも無表情で笑うことがない黒づくめの黒豹騎士が、小さな小さなリスのような妻の前では表情を崩し溺愛していると巷で噂になるのはもう少し先のことだ。そして黒豹騎士と小リス令嬢のカップルは社交会でもお似合いの夫婦だと公認され、夫婦として憧れの視線を向けられることになる。
顔が真っ赤になっているヴィオラを見つめながら、少し寂しげにキールが尋ねる。その顔は黒豹騎士と言われるような鋭い目つきではなく不安げだ。
「そ、そんなことはありません。ただ、慣れていないせいか緊張してしまって……キール様が嫌というわけでは決してありません!」
ふんすと鼻息を荒くしてヴィオラが言うと、キールは思わずプッと吹き出し、声を上げて笑い出した。
「あー、すまない。ヴィオラは本当に見ていて飽きないな。不安になっていた自分が馬鹿らしくなったよ。……ヴィオラ、屋敷に戻ってから言おうと思っていたんだが、気が変わった」
キールは真剣な眼差しをヴィオラへ向けると、先ほど宝石店で買った指輪を箱ごと取り出し、ヴィオラへ見せる。
「二人の瞳の色の宝石を付けた指輪の意味は知っているよな。初めは本当に契約結婚のつもりだった。君がただそばにいて魔力放出の発作を止めてくれればいい、君は君で魔力が枯渇しなくて済む、お互いに好条件だからと思っていたんだ。だが今は違う」
キールはヴィオラをじっと見つめながら言葉を続ける。
「君と一緒に過ごすうちに、君自身に惹かれていった。大食いなところも、大食いだと周りから言われてもなお自分より俺を思ってくれることも、食べ物を幸せそうに食べる姿も、たまに照れて真っ赤になる顔も、控えめに見えてでもちゃんと自分の意思を持っているところも、知れば知るほど君に惹かれている。そして契約結婚ではなく、本当の意味で夫婦になりたい、一緒に生きていきたいとそう思うようになったんだ」
キールの言葉にヴィオラは両目を見開きどんどん頬を赤く染めていく。
「ヴィオラのことが好きだ、愛している。どうか俺と結婚してください。契約結婚ではない、本当の結婚相手として俺を選んでほしい」
長めの前髪から見えるキールの瞳は真剣で、でもいつものように恐ろしいわけではない。その真剣な瞳はキラキラと輝き、吸い込まれそうなほど美しい。そしてそんなキールの瞳を見つめながら、ヴィオラは考えるより先に口を開いていた。
「……私も、キール様のことが好きです。キール様のそばにずっと一緒にいたいです、それに本当の夫婦になれたら嬉しいです」
そう言ってからすぐに自分が言った内容にハッとする。驚いた顔になるヴィオラを見てキールはまた声を上げて笑った。
「ヴィオラは本当に面白いな。でもそれが本心なら嬉しい」
そう言って箱から指輪を取り出し、ヴィオラの左手をとって薬指に指輪をはめる。指輪はピッタリと薬指に収まった。
「すごい、どうしてこんなにピッタリなんでしょう……」
「ヴィオラの指のサイズを測ることなんていつでもできる」
ククク、と嬉しそうに笑いながらキールはヴィオラの頬に手を添えた。ヴィオラは一瞬驚いて身を縮めるが、すぐに元に戻った。
「キスしてもいいか?」
真剣な眼差しのキールに、ヴィオラは胸がドキドキして仕方がない。めまいがしそうになるのを堪えながら、ヴィオラはゆっくりと頷いた。
そんなヴィオラを見てキールは嬉しそうに目を細め、静かにヴィオラに顔を近づける。ヴィオラが思わず目を瞑ると、キールの唇がヴィオラの唇にそっと触れ、すぐに離れた。
「やっぱり匂いも味も甘いな」
嬉しそうに笑いながらそう言うキールと一緒に、ヴィオラも嬉しそうに笑った。
「よし、今日の夕食は豪勢にするように料理長に伝えないとな。ヴィオラの好物をたくさん用意しよう」
キールの言葉にヴィオラは豪勢な夕食を想像して両目を輝かせながら嬉しそうに微笑んだ。
いつも無表情で笑うことがない黒づくめの黒豹騎士が、小さな小さなリスのような妻の前では表情を崩し溺愛していると巷で噂になるのはもう少し先のことだ。そして黒豹騎士と小リス令嬢のカップルは社交会でもお似合いの夫婦だと公認され、夫婦として憧れの視線を向けられることになる。