三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
「突然のことで申し訳ない」
馬車の中でキールはヴィオラにそう告げた。キールとヴィオラは馬車の中で真向かいに座っているが、キールの足が長すぎてヴィオラの足元を挟み込むような形になっている。
(ここここここ怖いいいいい目の前に黒豹がいる……!)
相変わらず前髪の間から鋭い目つきでヴィオラを見るキールに、ヴィオラは今にも気を失いそうなほど緊張し怖いと思っているが、そんなことを表に出してしまってはダメなことはさすがのヴィオラにもわかる。
「あ、いえ……あの、どうしてハディス様は私と縁談を?」
平常心を保つためにもモグモグと食べ物を頬張りながらヴィオラはキールへ尋ねた。既に三回も婚約破棄されているヴィオラはなぜ自分が結婚相手として望まれているのか全くわからず聞いてみたいと思っていたのだ。
「そのことについては屋敷についてから話そうと思っている。それと俺のことはキールでいい。……それにしても本当によく食べるんだな。美味しいのか?」
「えっと、美味しいです。私が好むものばかりなのですが……食べてみますか?」
目つきは鋭いがキールは興味のある素振りを見せ、ヴィオラはおもむろに横に置いていたバスケットからドライフルーツが混ざった菓子パンをキールへ差し出した。
「いいのか、もらって」
キールの質問にヴィオラはうんうんと大きく頷き、キールはヴィオラから菓子パンをもらって一口頬張る。口の中に広がるドライフルーツの甘さとパンの柔らかさにキールは思わず頬を緩めた。
「ん、うまいな」
キールが思わずそう言うと、ヴィオラは嬉しそうに微笑んだ。その頬笑みを見たキールは、一瞬だけ両目を見開いたがすぐに目を逸らし、また菓子パンを頬張る。
(よかった、キール様が美味しいって褒めてくれた)
ヴィオラの中にあったキールへの恐怖心がほんの少しだけ和らいだ。
馬車の中でキールはヴィオラにそう告げた。キールとヴィオラは馬車の中で真向かいに座っているが、キールの足が長すぎてヴィオラの足元を挟み込むような形になっている。
(ここここここ怖いいいいい目の前に黒豹がいる……!)
相変わらず前髪の間から鋭い目つきでヴィオラを見るキールに、ヴィオラは今にも気を失いそうなほど緊張し怖いと思っているが、そんなことを表に出してしまってはダメなことはさすがのヴィオラにもわかる。
「あ、いえ……あの、どうしてハディス様は私と縁談を?」
平常心を保つためにもモグモグと食べ物を頬張りながらヴィオラはキールへ尋ねた。既に三回も婚約破棄されているヴィオラはなぜ自分が結婚相手として望まれているのか全くわからず聞いてみたいと思っていたのだ。
「そのことについては屋敷についてから話そうと思っている。それと俺のことはキールでいい。……それにしても本当によく食べるんだな。美味しいのか?」
「えっと、美味しいです。私が好むものばかりなのですが……食べてみますか?」
目つきは鋭いがキールは興味のある素振りを見せ、ヴィオラはおもむろに横に置いていたバスケットからドライフルーツが混ざった菓子パンをキールへ差し出した。
「いいのか、もらって」
キールの質問にヴィオラはうんうんと大きく頷き、キールはヴィオラから菓子パンをもらって一口頬張る。口の中に広がるドライフルーツの甘さとパンの柔らかさにキールは思わず頬を緩めた。
「ん、うまいな」
キールが思わずそう言うと、ヴィオラは嬉しそうに微笑んだ。その頬笑みを見たキールは、一瞬だけ両目を見開いたがすぐに目を逸らし、また菓子パンを頬張る。
(よかった、キール様が美味しいって褒めてくれた)
ヴィオラの中にあったキールへの恐怖心がほんの少しだけ和らいだ。